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過塩素酸カリウムについての概要、用途、原理などをご説明します。また、過塩素酸カリウムのメーカー11社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
1993年~2019年に日本化薬株式会社医薬研究所にて医薬品の研究開発、各種生体試料の分析に従事。危険物取扱者、放射線取扱主任者として施設管理業務も担当。2019年に同業他社に転職、現在まで同様の業務を担当。専門書執筆・翻訳・校閲活動も行っている。>LinkedIn: h
過塩素酸カリウムとは、化学式KClO4で表される過塩素酸のカリウム塩です。
過塩素酸塩の1種であり、過塩素酸塩に共通する酸化剤としての性質、水溶液にしたときにイオン半径が大きい陰イオンとしてふるまう性質を持っています。なお、CAS登録番号は7778-74-7です。
過塩素酸カリウムは、酸化剤としてよく使われている化学物質です。強い酸化力をもつため、かつては固体燃料ロケットの酸化剤として使われていました。
現在では、爆薬、花火、酸化剤、信号炎管の原料といったものに用いられています。花火が強い炎を上げるのは、過塩素酸カリウムが強く酸素を発生させるからです。
この他にも、過塩素酸カリウムは、分析用の試薬 (イオンペア試薬) として、また抗甲状腺薬として医薬品の用途でも用いられています。
無色または白色の結晶性粉末で、水に溶けにくく、エタノール等のアルコール類にほとんど溶けません。溶かすのに冷水で概ね65倍容が必要です。
過塩素酸カリウムは、水に対してナトリウム塩である過塩素酸ナトリウムと対照的な性質を有しています。過塩素酸ナトリウムは水に良く溶ける一方、結晶が潮解性を示します。過塩素酸カリウムは結晶としては安定です。
過塩素酸カリウムは400℃以上に加熱すると酸素を発生しながら分解します。有機物と共存したときに、有機物を酸化するすることで火災の原因となるほか、火災時に熱分解して酸素を発生することでも火災の拡大を助長します。
過塩素酸カリウムの酸化力の源は、含まれる塩素が塩素原子の最高酸化状態 (7価) であることです。自身が還元され、周囲の物質を酸化する性質を持ちます。
過塩素酸イオンはヨウ素イオンの生体内移動 (臓器取り込みなど) を阻害します。その理由として、過塩素酸イオンがヨウ素イオンと大きさが近いため、取り込み輸送体と競合する可能性が考えられています。
本当に競合するかは論争がありますが、過塩素酸塩がSodium-Iodide Symporterによるヨウ素の生体内移動を妨げることは確かです。
この性質を利用して、過塩素酸カリウムを薬物として投与し、甲状腺へのヨウ素取り込みを調節することで甲状腺の機能を調節したり、投与時に血中に放出されるヨウ素量から甲状腺機能の診断に用いたりします。
過塩素酸カリウムはイオンペア液体クロマトグラフィーのイオンペア試薬として用いられます。過塩素酸イオンは大きなイオン半径を持つ陰イオンであり、有機陽イオンと安定に会合 (イオンペア形成) しやすい性質があるためです。
イオン半径の大きい過塩素酸イオンとイオンペアを形成することにより、有機陽イオンと分析カラムとの好ましくない相互作用を抑制し、分析性能を向上させることができます。
酸化性固体であり、有機物と共存することで火災の原因になるほか、火災を爆発的に拡大する可能性を有します。
皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、気道刺激性を有し、人体に有害です。また、長期の反復する曝露により、血液系の障害を生じる可能性があります。
労働安全衛生法においては、危険物・酸化性の物 (施行令別表第1第3号) に該当し、消防法では、第1類酸化性固体に分類されます。危険物船舶輸送及び貯蔵規則では酸化性物質、航空法でも酸化性物質です。
化学物質排出管理促進法では、第1種指定化学物質に該当しています。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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