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硫化銀についての概要、用途、原理などをご説明します。また、硫化銀のメーカー9社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
目次
硫化銀とは、硫化銀(Ⅰ)とも呼ばれている銀の硫化物です。
天然の輝銀鉱として産出しています。融点845℃で、常温において灰色から黒色の固体です。また、加熱や酸との接触により、非常に有毒な可燃性ガス (硫化水素) を生じます。毒物および劇物取締法における「劇物 包装等級3」に指定されています。
硫化銀は、硫黄の蒸気に銀を接触させることで得られます。また、空気中の硫化水素と銀が反応することでも生じており、一般的に銀の錆といわれています。
硫化銀は、銀の製造原料や陶磁器の金属細工 (硫化銀粘土) に用いられています。
銀の主な使用用途は工業製品です。かつては写真フィルムが代表的な工業製品でしたが、デジタルカメラの普及により減少の一途をたどっています。今日では、プラズマディスプレイパネルや太陽光発電における送電線に利用されています。
このほか、硫化銀は、写真のセピア色の調色にも用いられています。写真フィルムの銀粒子を硫化イオンと反応させることにより硫化銀が生じます。この硫化銀により、セピア色の写真に仕上がります。
硫化銀は灰色がかった黒色の粉末です。水、希塩酸、アンモニア水には溶けにくく、濃硫酸や濃硝酸、シアン化カリウム水溶液に溶けます。密度 7.23 g/cm3 、モース硬度2.3です。
硫化銀の薄膜は、可視光に対して光電効果を示すことが確認されています。光電効果とは物質に光を当てた時に電子を放出したり電流が流れたりする現象です。硫化銀は光によって分解しやすい性質 (感光性) があるので、必ず褐色ビンで保存しなくてはなりません。銀の化合物が感光性を示す理由としては、銀イオンが1価であり結合が切れやすいこと、銀は電気伝導性が高いので、光で生成した電子と正孔が分離しやすいことなどが挙げられます。
硫化銀の融点は845℃ですが、加熱すると二酸化硫黄を発生させながら熔けます。
硫化銀の結晶形態としてはα型、β型、γ型の3種類が知られています。
α型は体心立方構造の結晶で、アーゲンタイト (輝銀鉱) と呼ばれています。この形態は180℃以上で安定で、179℃以下ではβ型に遷移します。ただし、外形はアーゲンタイトの結晶系に保たれることが多いです。
β型はアカンサイト (針銀鉱) と呼ばれています。結晶構造は単斜晶系で、通常は針状結晶もしくは四角形状、立方体状結晶の鉱物として産出されます。γ型の結晶構造は面心立方で、586 °C 以上で安定な形状です。自然には産出しません。
硫化銀は天然には、アーゲンタイト (輝銀鉱) として産出します。銀の単体を硫化水素と反応させると硫化銀が生じます。また、銀イオンを含む水溶液に硫化水素を加えると硫化銀の黒色沈殿が生じます。
銀は酸化しにくい物質ですが、銀製品は時間の経過とともに表面が黒く変色することがあります。これは表面の銀が空気中の硫化水素と反応して硫化銀が生成するためです。
銀食器など銀製品の黒ずみをきれいに落とす方法として、アルミニウムと食塩を使う方法があります。鍋に水を入れて沸騰させ、なべの底にアルミホイルを敷いて、食塩を溶かします。その後、黒ずみが付着した銀製品を鍋の中に入れ五分間程度煮ます。
この方法はアルミニウムが銀よりイオン化傾向が高いことを利用したものです。そのため、硫化銀は銀に還元され、アルミニウムと硫黄が反応して硫化アルミニウムが生成されます。
硫化銀は強い酸と接触すると、非常に有毒な可燃性ガスである硫化水素が発生するため、取り扱いには注意が必要です。さらに、金属ハロゲン化物と混合すると、衝撃、熱、摩擦に敏感な爆発性混合物となりますので、厳重に取り扱う必要があります。
また、硫化銀を空気中で加熱すると、二酸化硫黄と酸化銀が生成します。二酸化硫黄は、体内に入ると呼吸器系に影響を与え、せきや気管支炎、気管支喘息などの症状を引き起こすことがあります。そのため、硫化銀を加熱する場合には、適切な換気を行い、呼吸器の保護具を着用するなど、安全に取り扱うように注意が必要です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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