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塩化ベンゾイルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、塩化ベンゾイルのメーカー10社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
塩化ベンゾイル (英: benzoyl chloride) とは、最も簡単な芳香族酸ハロゲン化物の1つで、刺激臭のある無色の液体です。
安息香酸から誘導される酸塩化物で、別名ベンゾイルクロリドとも呼ばれます。モル質量は140.6g/mol、融点は-1℃、沸点は197℃、CAS番号は98-88-4です。
塩化ベンゾイルは、カルボン酸の塩素化反応を用いて合成することができ、具体的には安息香酸に五塩化リン、塩化チオニル、ホスゲンなどを作用させることよって合成されます。トリクロロメチルベンゼンの部分加水分解反応によっても合成することができます。
塩化ベンゾイルは、水と徐々に反応し、安息香酸と塩化水素になるため、保存する際には空気に触れないことや、その他の物質に触れないように注意することが必要です。
また、催涙性を有し、皮膚・目・粘膜を刺激する有毒な物質であるため、取り扱う際には手袋を着用し、目の保護のために保護メガネを装備する必要があります。分解した際に生じる塩化水素や二酸化硫黄も腐食性を持ち、非常に有害な気体であるので、取り扱う場合には注意が必要です。
72℃以上では蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがあるため、換気および防爆型電気設備の用意が必須です。
塩化ベンゾイルの使用用途は下記の通りです。
塩化ベンゾイルの持つ酸化チオニル部分 (-COCl) は非常に反応性が高いため、さまざまな求核剤と反応を起こします。例えば、メタノールやエタノールなどのアルコールと反応し、安息香酸メチルエステルや安息香酸エチルエステルと塩化水素を生じるといったエステル化の反応を起こします。フェノールやアミン等とも反応し、ベンゾイル誘導体を作ります。
非常に高い反応性を持つ求電子剤であるため、酸素や窒素などのヘテロ原子との結合だけでなく、炭素‐炭素を形成することを非常に得意としている分子です。そのため、種々の有機化合物にベンゾイル基を導入するベンゾイル化剤として、塩化ベンゾイルが使用されています。
しかし、チオニル基を持つためあらゆる物質との反応性が非常に高くなっており、期待していない反応が起こらないように気を付けることが必要です。ナトリウムアジドと塩化ベンゾイルを反応させたのち、加熱することで一炭素減少したアミンを合成するというクルチウス転移という反応の原料としても用いられます。
この反応はアミンを立体特異的に合成することができる貴重な反応であり、インフルエンザの治療薬であるタミフルの合成ルートにも用いられています。塩化ベンゾイルはベンゼン環を含むため、ベンゼン環上にフリーデルクラフツアルキル化やアシル化などのさまざまな反応をを起こすことができ、有機化学合成の様々な場面で用いられます。
塩化ベンゾイルと過酸化ナトリウムを反応させることで、過酸化ベンゾイルに変換することができます。過酸化ベンゾイルは非常に反応性に富むペルオキシドと呼ばれる化合物の一種で、ラジカルを利用した重合反応の開始剤としても用いられます。
不飽和ポリエステル等の橋かけ硬化剤、酸化漂白剤にも使われているほか、様々な染料・薬品・香料等の合成原料、特に、アントラキノン系建染め染料の合成中間体として、重要な物質とされています。
塩化ベンゾイルは消防法にて「第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体」に、毒物及び劇物取締法にて「劇物」に指定されています。労働安全衛生法では「名称等を表示すべき危険有害物」「名称等を通知すべき危険有害物」にそれぞれ指定されており、取り扱いには注意が必要です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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