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マンガン酸カリウム (英: Potassium manganate) とは、化学式K2MnO4で表される無機化合物で、酸化数+6のマンガン (VI) を含むマンガンのオキソアニオンのカリウム塩です。
CAS登録番号は、10294-64-1です。汎用される過マンガン酸カリウムKMnO4とは別の物質となります。また、マンガン酸カリウムは過マンガン酸カリウムの合成です。
マンガン酸カリウムと同じマンガン酸塩には、マンガン酸バリウムやマンガン酸ナトリウムなどがあります。
マンガン酸カリウムの第一の工業的用途は、過マンガン酸カリウムの工業合成における中間体です。マンガン酸カリウムを強塩基性ではない水溶液に溶かすと、過マンガン酸イオンと酸化マンガン (Ⅳ) を生じます (不均化) 。
不均化したマンガン酸カリウムの水溶液は、カメレオン液やカメレオン水と呼ばれる物質です。これは、pHによって水溶液の色が変化するためです。
カメレオン水は酸性になると赤紫色、強塩基性になると暗緑色を示します。また、マンガン酸塩全般は酸化剤として用いることができるため、マンガン酸カリウムも酸化剤としての用途がある物質です。
図1. マンガン酸カリウムの基本情報
マンガン酸カリウムは、分子量197.132、融点190℃であり、常温では暗緑色の粉末状固体です。密度は2.78g/mL、酸解離定数pKa=7.1となります。
マンガン酸カリウムは、主に研究開発用試薬製品や、工業用無機塩素材として販売されています。研究開発用試薬製品としては、25gなど実験室で取り扱いやすい容量で提供されています。酸化剤などとして用いられることが一般的です。通常、常温で保管可能な試薬製品として取り扱われます。
工業用無機塩としての購入や容量については、個々のサプライヤーに問い合わせが必要です。通常、最も多い用途は過マンガン酸カリウムの合成中間体です。
図2. マンガン酸カリウムの合成法
酸化マンガン (Ⅳ) の鉱石は、パイロルース鉱と呼ばれます。パイロルース鉱を水酸化カリウムと共に融解することにより、マンガン酸カリウムを得ることができます。また、工業的には溶融水酸化カリウムと二酸化マンガンの混合物を硝酸カリウム若しくは空気によって酸化することで合成されます。主には、過マンガン酸カリウムの中間生成物として合成されている化合物です。
実験室的製法では、濃水酸化カリウム水溶液 (5-10 M) と過マンガン酸塩を混合したものを24時間攪拌する、もしくは、加熱することによって合成が可能です。その他の合成方法には、過マンガン酸カリウムをヨウ化カリウムで一電子還元する方法や、過マンガン酸カリウムの熱分解などがあります。ヨウ化カリウムとの反応は、副生成物としてヨウ素を生じる反応です。
図3. マンガン酸カリウムの化学反応
マンガン酸カリウムを強塩基性ではない水溶液に溶かすと、過マンガン酸イオンを生じて赤色に呈色します。これは、不均化と呼ばれる現象で、同一種類の化学種が2個以上互いに反応し、2種類以上の異なる種類の生成物を与える化学反応です。
本反応の最終生成物は過マンガン酸塩と二酸化マンガンですが、その動力学は複雑であると言われています。この反応機構にはプロトン化およびマンガン (V) 種の関与が示唆されています。
マンガン酸カリウムは、酸化性物質であることから火災助長のおそれや人体への有害性として、皮膚刺激、強い眼刺激、呼吸器への刺激のおそれなどが指摘されています。推奨保管条件下では安定とされます。しかし、強還元剤、金属粉体、過酸化物、亜鉛、銅などとは反応する性質があるため、混触を避けるべきです。
これらの理由により、労働安全衛生法では特定化学物質障害予防規則により、第二類物質に指定されているほか、名称等を表示すべき危険物及び有害物に指定されています。また、化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法) でも、第一種指定化学物質に指定されている物質です。法令を遵守して正しく取り扱うことが必要です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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