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ベンゾニトリルについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ベンゾニトリルのメーカー7社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。ベンゾニトリル関連企業の2024年10月注目ランキングは1位:メルク株式会社となっています。
図1. ベンゾニトリルの基本情報
ベンゾニトリルとは、化学式がC6H5CNと表される芳香族シアン化物の一つです。
1844年にヘルマン・フォン・フェーリング (英: Hermann von Fehling) によって、安息香酸アンモニウムを分解するまで熱し、分解生成物の一つとしてベンゾニトリルが発見されました。ベンゾニトリルと新語を作り、ニトリル類は「ニトリル」と呼ばれるようになりました。
国内の消防法では、「危険物 第4類 引火性液体 第2石油類 危険等級 III」に指定されています。また、毒物及び劇物取締法の劇物にも該当するため、取り扱いには注意が必要です。
ベンゾニトリルは、 加水分解するとベンズアミドを経て安息香酸に、還元するとベンジルアミンに、濃硫酸で重合させればトリアジン環になります。多くの誘導体の前駆体であり、さまざまな業界や分野で溶媒や中間体として広く利用されています。
具体的な使用例を挙げると、プラスチック原料、酸化防止用の溶剤、めっき溶媒、建染め染料の合成原料、医薬・農薬中間体、エポキシ樹脂の硬化剤などがあり、非常に幅広い用途で使用可能です。
ベンゾニトリルの融点は−13°Cで、沸点は188〜191°Cです。25°Cで無色の液体状態として存在し、アーモンドに似た香りがあります。可燃性の物質で、引火点は75°Cで、発火点は550°Cです。
100°Cの水に対するベンゾニトリルの溶解度は1%です。アルコールやエーテルには任意の割合で混じります。
ベンゾニトリルはベンゼンの水素原子1つをシアノ基に置換した構造を有し、シアン化フェニルとも呼ばれます。化学式は省略してPhCNとも書かれます。モル質量は103.04g/molで、密度は1.0g/mlです。
図2. ベンゾニトリルの合成
400~450°Cでアンモニアと酸素が反応して、トルエンのアンモ酸化 (英: ammoxidation) によってベンゾニトリルが合成されます。実験室ではベンズアミドやベンズアルデヒドオキシムの脱水によってもベンゾニトリルを生成可能です。
シアン化銅(I)やNaCN/DMSOとブロモベンゼンを使用したローゼンムント・フォンブラウン合成 (英: Rosenmund-von Braun synthesis) によっても、ベンゾニトリルは得られます。ローゼンムント・フォンブラウン合成とは、ハロゲン化アリールからアリールニトリルを合成する化学反応のことです。
アニリンをジアゾ化して、シアン化銅(I)と反応させてもベンゾニトリルが得られます。この反応はザンドマイヤー反応 (英: Sandmeyer reaction) と呼ばれます。
図3. ベンゾニトリルの錯体
ベンゾニトリルは加水分解によって安息香酸になります。アミンと反応して、加水分解後にN-置換体のベンズアミドが得られます。臭化フェニルマグネシウムを反応させ、加水分解後にジフェニルケトイミン (Ph2C=NH) を生成可能です。
後期遷移金属とベンゾニトリルは、錯体を形成します。ベンゾニトリル配位子は強い配位子で容易に置換されるため、合成中間体として便利です。錯体の具体例として、ビス(ベンゾニトリル)パラジウムジクロリド (英: Bis(benzonitrile)palladium dichloride) が挙げられます。化学式はPdCl2(PhCN)2と表され、有機溶剤に溶ける黄褐色の固体です。ベンゾニトリルに塩化パラジウム(II) (PdCl2) を溶解させると調製できます。非配位溶媒中ではPdCl2に戻ります。X線結晶構造解析によると、2つのベンゾニトリル配位子はトランスに配置しています。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0102-0106JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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1 | メルク株式会社 |
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