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ベンザルアセトンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ベンザルアセトンのメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. ベンザルアセトンの基本情報
ベンザルアセトンとは、構造式がC6H5CH=CHC(O)CH3の有機化合物です。
別名としてベンジリデンアセトンとも呼ばれています。ベンザルアセトンのCAS登録番号は122-57-6、trans体のCAS登録番号は1896-62-4です。
国内法規上の適用法令は、労働安全衛生法で「変異原性が認められた化学物質等」の指定がされています。
ベンザルアセトンは、香料に関係した分野での利用が多くみられます。芳香族に属する有機化合物で、スイートピーのような臭いが特徴です。とりわけ顕著なのが、石鹸の香料と言われています。
石鹸は、天然油脂とアルカリが主原料となるため、そのままでは油くさいものでしたが、香料を混ぜることで人が好む香りが石鹸の香り (=清潔な香り) と言われるようになりました。
石鹸は、ひとの肌に直接つける洗浄剤とも定義付けされているため、薬機法 (旧薬事法:正式名称を「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」) の化粧品となるため、成分表示が義務付けられています。
ベンザルアセトンは、うすい黄色又は黄色から黄褐色の澄明な特異臭のある塊か液体をしています。ベンザルアセトンの融点は37〜41℃、沸点は262℃、引火点は66℃です。
なお、ベンザルアセトンの化学式はC10H10O、構造式はC6H5CH=CHC(O)CH3、分子量は146.19です。
ベンザルアセトンはα,β不飽和ケトンであり、cis体とtrans体の両方の構造が可能ですが、観測されるのはtrans体のみです。
図2. ベンザルアセトンの合成
容易に入手できるアセトンとベンズアルデヒドから、NaOH誘導の縮合反応によって、効率的にベンザルアセトンが合成可能です。
図3. ベンザルアセトンの反応
ベンザルアセトンもその他のメチルケトンと同様に、α位とβ位の水素原子が中程度に酸性です。そのため容易に脱プロトン化して、対応するエノラート (英: enolate) を形成します。
エノラートとは、炭素-炭素二重結合上の炭素に、ヒドロキシ基が直接結合した化合物のことです。エノールにおけるヒドロキシ基の水素原子が、プロトンとして解離して生成する陰イオンと同じ構造を取っています。
ベンザルアセトンのエノラートは、多種多様な反応をすることが期待できます。
ベンザルアセトンのエノラートの反応例として、臭素の二重結合への付加やヒドラゾン (英: hydrazone) の形成などが挙げられます。また、ヘテロジエンへのアルケンの付加によって、ジヒドロピラン (英: dihydropyran) をディールス・アルダー反応 (英: Diels–Alder reaction) で合成可能です。
さらに、二鉄ノナカルボニル (英: nonacarbonyldiiron) と呼ばれるFe2(CO)9に反応させると、(ベンジリデンアセトン)鉄トリカルボニル (英: (Benzylideneacetone)iron Tricarbonyl) が生成して、Fe(CO)3単位が他の有機化合物に転移します。
ベンザルアセトンのエノラートを用いて、メチル基部分にベンズアルデヒド (英: benzaldehyde) を縮合させたジベンザルアセトン (英: dibenzalacetone) を合成可能です。
芳香族ケトンであるジベンザルアセトンは、ジベンジリデンアセトン (英: dibenzylideneacetone) とも呼ばれています。ジベンザルアセトンには、cis,trans体やcis,cis体も存在しますが、通常trans,trans体のことを指します。
遷移金属の配位子としてのdbaは、ジベンザルアセトンの略称です。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/jp/product/detail/W01W0102-0056.html
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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