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フルオロベンゼンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、フルオロベンゼンのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。フルオロベンゼン関連企業の2024年10月注目ランキングは1位:メルク株式会社となっています。
図1 フルオロベンゼンの基本情報
フルオロベンゼン (英: Fluorobenzene) とは、ベンゼンの一つの水素原子がフッ素に置換された構造を持つ分子式C6H5Fの有機化合物です。
CAS登録番号は、462-06-6です。分子量96.1、融点-44 ℃、沸点85℃であり、常温では無色もしくはうすい黄褐色の澄明な液体です。特異な臭いを呈する特徴があります。密度は1.025 g/mlです。エーテルと混和し、エタノールやアセトンには極めて溶けやすいものの、水にはほとんど溶けません。
フルオロベンゼンは、有機フッ素化合物原料として有用な化合物です。農薬や医薬品などの有機化合物の合成原料や抽出剤に使われています。
また、炭素-フッ素結合の強さのため、比較的不活性な化合物とされ、しばしば有機溶媒として利用されます。融点はベンゼン (5.5℃) より大幅に低いものの、沸点はほぼ変わらないことが特徴です。ただし、金属錯体に配位して結晶化させることがあるのでこの点は注意が必要です。
図2. フルオロベンゼンの合成方法
フルオロベンゼンは、実験室スケールではベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートの熱分解によって合成が可能です。固体のベンゼンジアゾニウムテトラフルオロボラートを加熱すると、三フッ化ホウ素とフルオロベンゼンの二種類の揮発物質が生成しますが、沸点の違いにより分離することが可能です。
別の合成方法としては、塩化ベンゼンジアゾニウムをピペリジン塩とした後に、これをフッ化水素酸で処理するという合成方法が存在します。これは、1886年に初めてフルオロベンゼンの合成が報告された方法です。
図3. フルオロベンゼンの金属錯体の例([(C5Me5)2Ti(FC6H5)]+)
フルオロベンゼンは、フッ素原子が電子供与性を有することから、パラ位で求電子剤と反応しやすくなっています。それゆえ、1-ブロモ-4-フルオロベンゼンへの変換は比較的高収率で進行します。また、C-F結合は結合エネルギーが大きいことから、比較的安定な結合です。
比較的安定な化合物であるため、溶媒として使用されますが、金属錯体に配位して結晶化させてしまうこともあります。
通常の保管環境では安定とされますが、高温・直射日光・炎などを避けることが必要です。また、強酸化剤とは反応してしまうため、混触を避けて保管を行うべきとされます。
フルオロベンゼンは主に研究開発用試薬製品や化学工業用製品として販売されています。
研究開発用試薬では、5g、25g、100g、500gなどの容量の種類があります。室温で取り扱い可能な試薬製品です。主な使用用途は有機合成原料です。また、試薬製品として、水素原子が重水素で置換されたフルオロベンゼン-d5も販売されています。こちらは、主にNMR測定用溶媒として使用されている物質です。
また、化学工業用製品としては、グラムスケールからトンスケールまで製品供給がなされています。大容量ではドラム缶やタンクで扱われることも多く、スケールが大きいことから通常冷暗所での取り扱いとなります。
フルオロベンゼンは引火点が-8℃と低く、引火性の高い液体です。そのため、消防法では「危険物第四類 第一石油類 危険等級Ⅱ」に指定されています。
また、人体への危険性では、眼に対する重篤な損傷性や、生殖細胞変異原性試験が指摘されており、遺伝性疾患のおそれがあります。このため、労働安全衛生法では「変異原性が認められた化学物質等」・「危険物・引火性の物」に指定されている物質です。
危険物船舶運送及び貯蔵規則では「引火性液体類」に指定され、さらに航空法でも「引火性液体」に指定されています。法令を遵守して正しく利用することが必要です。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0106-0034JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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