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フタルイミドについての概要、用途、原理などをご説明します。また、フタルイミドのメーカー5社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。フタルイミド関連企業の2024年10月注目ランキングは1位:三星化学工業株式会社、2位:純正化学株式会社となっています。
フタルイミド (英: Phthalimide) とは、白色〜淡黄色、結晶性粉末のイミド化合物です。
IUPAC名は1H-イソインドール-1,3 (2H) -ジオン (英: 1H-Isoindole-1,3 (2H) -dione) 、別名として1,3-ジオキソイソインドリン (英: 1,3-dioxoisoindoline) とも呼ばれます。
フタルイミドは、有機合成原料として用いられています。
1級アミンの合成は、通常アルキル基が2つ結合したジアルキルアミンや3つ結合したトリアルキルアミンの生成が同時に進行するため困難です。フタルイミドを出発原料として用いると、確実に1級アミンが合成できます。
ジメチルホルムアミド (DMF) などの非プロトン性溶媒中、水酸化カリウムを作用させ、ハロゲン化アルキルと反応させることで求核置換的に反応が進行し、アルキルフタルイミドが得られます。その後、ヒドラジンを作用させフタロイル基を除去することで、目的の1級アミンを合成可能です。
水酸基の立体反転反応として知られる光延反応の応用として、フタルイミドを用いることで、立体反転を伴い水酸基をアミノ基へ変換できます。光延反応は、使用する求核剤プロトンのpKaが13より大きいと進行しません。イミド構造による酸性度の低下が、上記反応を可能にします。
1級アミンに無水フタル酸を作用させることで、フタロイル基として1級アミンを保護することが可能です。フタロイル基は酸や塩基性、酸化条件などにも強く、有用な1級アミンの保護基として知られています。アルキル金属などの求核剤やヒドリドとは反応します。脱保護には、ヒドラジンの使用が一般的です。
特にペプチド合成では、1級アミンの2つの水素をブロックできるため、基質のラセミ化を避けるためによく用いられます。
フタルイミドを水酸化カリウムなどのアルカリ金属塩基で処理し、N-アルカリ金属塩とした後、ハロゲンを作用させることでN-ブロモフタルイミドやN-クロロフタルイミドなどのN-ハロゲン化合物の合成が可能です。これのN-ハロゲン化合物は、ハロゲン化剤として用いられます。
フタルイミドに次亜塩素酸を作用させ、ベックマン転位により得られるアントラニル酸は、インディゴやメチルレッドなど染料や顔料の原料として使用されています。
その他、アミノ酸やフタロシアニン色素などの合成中間体として用いられたり、殺菌剤や酸化反応、光反応の阻害剤としても使用されます。
化学式はC8H5NO2で表され、分子量は147.13です。CAS番号は85-41-6で登録されています。
融点は233〜237 °Cです。昇華性を持ち、常温で固体です。水酸化ナトリウム溶液に溶け、水やエタノール、アセトンにはほとんど溶けません。
酸性・アルカリ性の程度を表すpHは3.8 (0.6 g/L、H₂O) 、酸解離定数 (pKa) は8.3です。酸解離定数とは、酸の強さを定量的に表すための指標の1つです。pKa が小さいほど、強い酸であることを示します。
イミド窒素は、窒素原子に求電子性のカルボニル基が2つ直接結合しているため、酸性度はアルキルアミン化合物よりも低くなり、酸性を示します。
フタルイミドは、無水フタル酸をアンモニアや炭酸アンモニウム、水酸化アンモニウム、尿素などと加熱し、イミド化することで得られます。
また、フタルアミドやフタル酸アンモニウムの脱水でも合成可能です。水中または酢酸中で再結晶により精製できます。
取り扱う場合の対策
強酸化剤との接触は避けてください。局所排気装置内で使用してください。使用の際は、個人用保護具を着用します。
火災の場合
熱分解により、一酸化炭素や二酸化炭素、窒素酸化物を放出する恐れがあります。消火には水スプレーや粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素消火剤、消化砂などを使用します。
皮膚に付着した場合
必ず白衣や作業着などの保護衣や保護手袋を着用し、皮膚が暴露しないようにして、皮膚に付着しないよう注意します。
皮膚に付着してしまった場合は、石けんと大量の水で洗い流します。皮膚刺激が続く場合は、医師の診断を受けてください。
眼に入った場合
必ず保護メガネやゴーグルなどを着用してください。万が一眼に入った場合は、水でしっかりと洗います。コンタクトレンズを使用している場合、可能なら外します。直ちに、医師に相談してください。
保管する場合
フタルイミドは、光により変質する恐れがあります。遮光性のガラス製容器に入れて密閉し、直射日光を避け、換気が良好な涼しい場所に施錠して保管してください。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0116-1413JGHEJP.pdf
https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/compound/Phthalimide
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