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ピロリジンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ピロリジンのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. ピロリジンの基本情報
ピロリジン (英: pyrrolidine) とは、化学式がC4H9Nで表される複素環式アミンです。
複素環式アミンは、環の中に2種類以上の異なる元素を含んだ環式アミンのことを指します。ピロリジンの別名は、テトラヒドロ-1H-ピロール (英: tetrahydro-1H-pyrrol) です。
ニンジンやタバコの葉などに含まれ、消防法で「第4類危険物第1石油類」に該当します。
ピロリジンは、有機合成の材料に広く用いられています。具体的には、ピロリジンとケトンの縮合によって、エナミン (英: enamine) を合成できます。さらにピロリジンは、強塩基性を示すため、塩基性の反応溶媒としても使用可能です。
また、ピロリジン骨格を持ついくつかの物質が医薬品に使われています。例えば、頻脈性不整脈、持続性心房細動、狭心症の治療薬に用いられているベプリジル (ベプリジル塩酸塩水和物) は、ピロリジン骨格を有します。
ピロリジンは無色の液体で、特有の刺激臭があります。融点は−63°C、沸点は87 °Cであり、pKaは11.27、pKbは2.74です。
水に溶けると、強塩基性を示します。クロロホルム、エタノール、エーテルにも溶けます。なお、ピロリジンは5員環構造を有するアミンです。
分子量は71.12で、密度は0.8660g/cm3です。ピロリジンの骨格を持つ化合物は、ピロリジン誘導体と呼ばれています。
図2. ピロリジンの合成
工業的にピロリジンは、アルミナに担持されたコバルト酸化物またはニッケル酸化物を触媒として、165~200°C、17~21MPaで、1,4-ブタンジオール (英: 1,4-butanediol) とアンモニアの反応によって合成可能です。
実験室でピロリジンは、通常4-クロロブタン-1-アミン (英: 4-chlorobutan-1-amine) を強塩基で処理して合成できます。ピロリジン誘導体は、カスケード反応 (英: Cascade reaction) によって合成されます。
図3. ピロリジンの反応
一般的なジアルキルアミンのように、ピロリジンは塩基性を示します。多くの二級アミンと比較すると、ピロリジンは環状構造を持つため、そのコンパクトさによって特徴的な反応が起こります。
具体的には、複雑な有機化合物の合成のために、ビルディングブロックとして使用可能です。ケトンやアルデヒドからエナミンを形成し、求核付加反応の活性化のために利用されます。エナミンとは炭素の二重結合上にアミノ基を有する化合物のことです。この反応はストークエナミン反応 (英: Stork Enamine Reaction) と呼ばれています。
ストークエナミン反応ではエナミンがアルキル化試薬に付加して、アルキル化されたイミニウムが生じ、酸による加水分解によってモノアルキル化されたケトンやアルデヒドを合成可能です。
ピロリジン骨格は、多くの天然化合物に存在し、ピロリジン誘導体と呼ばれています。具体例として、ヒグリン (英: Hygrine) 、ヒグロリン (英: Hygroline) 、クスコヒグリン (英: Cuscohygrine) 、スタキドリン (英: Stachydrine) などのアルカロイド (英: Alkaloid) が挙げられます。
アルカロイドとは、窒素原子を含んだ天然由来の有機化合物のことです。例えば、ニコチン (英: Nicotine) は、ピリジン環とピロリジン環を有します。ピロリジンの構造は、プロリン (英: Proline) やヒドロキシプロリン (英: Hydroxyproline) のようなアミノ酸にも存在します。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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