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ジヒドロピランについての概要、用途、原理などをご説明します。また、ジヒドロピランのメーカー4社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. ジヒドロピランの異性体
ジヒドロピラン (Dihydropyran) とは、酸素1個と二重結合1個を含む6員環構造を持つ、分子式C5H8Oで表される環状エーテルです。
ピランが2個水素化を受けた構造に相当します。二重結合の位置によって複数の構造異性体が存在しますが、単にジヒドロピランと呼ぶ場合、一般的には最も使用頻度が高い3,4-ジヒドロ-2H-ピランを指す場合が多いです。
ジヒドロピランの主な使用用途は、有機合成原料・有機合成試薬です。特に、アルコールやフェノールなどの水酸基の保護に用いられます。酸触媒を用いてジヒドロピランをアルコールと反応させると、テトラヒドロピラニル基を生成し、アルコールの保護基の役割を果たします。
また、ジヒドロピランはテトラヒドロピランやテトラヒドロピラニルエーテルを生成する原料としても用いられる化合物です。
3,4-ジヒドロ-2H-ピランは、テトラヒドロフルフリルアルコールを酸化アルミニウムとともに加熱することで得られます。反応温度は300-400℃です。
図2. 3,4-ジヒドロ-2H-ピランの基本情報
3,4-ジヒドロ-2H-ピランは、分子量84.12、融点-70℃、沸点86℃であり、常温では無色から黄色の液体です。エタノール臭があります。密度は0.93g/mLであり、エタノール及びアセトンに極めて溶けやすく、水に溶けにくい性質です。CAS番号は 110-87-2です。
引火性の物質であるため、消防法では「第4類引火性液体」「第一石油類非水溶性液体」に指定されています。
3,6-ジヒドロ-2H-ピランは、分子量84.12、沸点92-93℃、密度は0.943g/mLです。CAS登録番号は 3174-74-1です。
図3. ジヒドロピランを用いたアルコールの保護/脱保護反応
ジヒドロピランはラネーニッケルを用いた水素化により、テトラヒドロピランに変換することが可能です。また、3,4-ジヒドロ-2H-ピランは非水条件、酸触媒共存下にてアルコールと反応してテトラヒドロピラニルエーテルを生成します。
テトラヒドロピラニル基はアルコールの保護に用いられる保護基です。本反応において、酸を嫌う基質の場合は、光延反応の中性条件が用いられます。
テトラヒドロピラニル基の脱保護の際には、水の共存下に酸を作用させることが一般的です。この反応では、水の代わりに大過剰のメタノールやエタノールを用いることも可能です。
テトラヒドロピラニル基は、アルコールの保護に用いられます。テトラヒドロピラニル基の特徴として、塩基性条件や求核剤、還元反応など酸以外のほとんど全ての条件下で安定であることが挙げられます。また、他の保護基に比べて安価で脱保護も弱酸性下で簡単に行うことが可能です。
一方で、テトラヒドロピラニル基は不斉炭素を含むため、キラルアルコールに用いた場合には NMRスペクトル が複雑となったり、異性体であるジアステレオマーが生成したりするなどのデメリットがあります。
ジヒドロピランは、主に研究開発用試薬製品として販売されています。異性体のうち、3,4-ジヒドロ-2H-ピランがほとんどであり、3,6-ジヒドロ-2H-ピランはほとんど販売されていません。ただし、3,6-ジヒドロ-2H-ピランは、ボロン酸ピナコールエステル (3,6-ジヒドロ-2H-ピラン-4-ボロン酸ピナコールエステル) など、誘導体の中には市販されている物質もあります。
3,4-ジヒドロ-2H-ピランは、25mL、100mL、500 mLなど容量の種類があります。冷蔵または冷凍で取り扱われる場合もある試薬製品です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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