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シメンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、シメンのメーカー10社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. シメンの異性体群
シメン (英: Cymene) とは、有機化合物の1種で、ベンゼンの2つの水素がメチル基とイソプロピル基で置換された構造の化合物です。
通常はベンゼン環のパラ位 (1位と4位) にメチル基とイソプロピル基が置換した構造を持つp-シメン (パラシメン) のことを指します。
CAS登録番号は99-87-6です。位置異性体として o-シメン (CAS登録番号: 527-84-4) と m-シメン(CAS登録番号: 535-77-3) がありますが、どちらも天然では見つかっていない物質です。
シメンは自然界において、月桃やクミン、タイムなどの精油に含まれている物質です。香料として使用されることが一般的であり、石鹸などに用いられています。揮発油臭を帯びた柑橘臭を有する物質です。
また、有機合成原料としても有用な物質です。テレフタル酸やチモールの合成原料として利用されます。シメンから合成可能な中間体やビルディングブロックとしては、シメンヒドロペルオキシド、4-メチルアセトフェノン、4-イソプロピルベンジルアルコール、4-イソプロピルベンズアルデヒド、4-イソプロピル安息香酸などが挙げられます。さまざまな条件下での酸化反応の研究に使用されることもある物質です。
図2. シメンの基本情報
p-シメンは、モノテルペン (炭素数10の植物や昆虫、菌類、細菌などによって作り出される炭化水素) 、芳香族炭化水素に分類される有機化合物です。4-イソプロピルトルエンなどの別名を持ちます。分子式は C10H14、分子量は134.22です。
融点-68.9℃、沸点177.10℃、常温では無色透明の液体です。特徴的な香りを有し、レモンを思わせる柑橘系の香りと形容されることもあります。エタノール、アセトン、ベンゼン、四塩化炭素及び石油エーテルと混和しますが、水にはほとんど溶けません。密度は0.857g/mLです。
p-シメンは通常の取扱い条件下では安定ですが、酸化剤と反応し、ゴムを侵すとされます。保管の際には、これらの物質との混触を避けることが必要です。また、シメンはルテニウムへの配位子として用いられます。代表的なものに、ジクロロ(p-シメン)ルテニウム(II) (η6-cymene)2Ru2Cl4) があり、通常ダイマーの形で販売されています (CAS 登録番号 [52462-29-0]) 。
この錯体は、三塩化ルテニウムと α-フェランドレンから合成され、各種ルテニウムシメン錯体への前駆体として利用される化合物です。その他には、オスミウムのシメン錯体も知られています。
シメンは、一般的には研究開発用試薬製品や香料などの工業原料物質として販売されています。前述の通り、p-シメンが一般的です。p-シメンは、研究開発用試薬製品としては、25mg、25mL、500mL、1kg、8kg、20kgなど多様な容量の製品が提供されています。通常、室温で取り扱い可能な試薬製品です。
試薬メーカーの中にはo-シメンや、m-シメンを取り扱っているメーカー企業もありますが、容量は数百ミリグラム程度と少量であり、また価格も効果となっています。工業原料としては、100g、1kg、25kgなどの単位で提供されていますが、その他需要に合わせたカスタマイズにも対応している場合があります。
図3. シメンの合成
p-シメンは、工業的にはヨウ素 (I2) または三塩化リン (PCl3) を用いたα-ピネンの脱水素化や、トルエンとプロペンのフリーデル・クラフツアルキル化反応などによって製造されています。
p-シメンは引火点47 ℃の引火性物質であり、また、人体への有害性が報告されている物質です。そのため、労働安全衛生法では、 「危険物・引火性の物、変異原性が認められた既存化学物質」に指定されており、消防法にでは「第4類引火性液体」「第二石油類非水溶性液体」に指定されています。法令を遵守して正しく取り扱うことが必要です。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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