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クロトンアルデヒドについての概要、用途、原理などをご説明します。また、クロトンアルデヒドのメーカー5社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. クロトンアルデヒドの基本構造
クロトンアルデヒド (Crotonaldehyde) とは、有機化合物の1種であり、不飽和アルデヒドに分類される物質です。
分子式はC4H6Oで表され、分子内に二重結合を1つ持ちます。分子量は70.09です。cis型 (シス型) 、trans型 (トランス型) の2種類の幾何異性体がありますが、特記なくtrans型のことを指している場合も多くあります。
CAS登録番号は、123-73-9 (トランス型) 、15798-64-8 (シス型) 、4170-30-3 (混合物) です。IUPAC命名法による名称は、トランス型、シス型の順にそれぞれ、「(E)-2-ブテナール」「(Z)-2-ブテナール」です。
他にも「プロピレンアルデヒド」「メチルプロペナール」「β-メチルアクロレイン」等の名称が用いられることがあります。
クロトンアルデヒドの主な使用用途は、ブタノール、ブチルアルコールや、クロトン酸、ソルビン酸などの有機化合物の合成原料です。これらの化合物は種々の工業品に利用されています。
例えば、クロトンアルデヒドを利用して合成されるブタノールは、カラー塗料やブレーキ液、燃料などに広く用いられています。また、クロトンアルデヒドは合成的に利用価値が高いことから、その他にも医薬品原料や農薬原料として活用されています。
研究開発においても有機合成の原料として利用されている物質です。
図2. クロトンアルデヒド(トランス型)の物性値
クロトンアルデヒドは前述の通り、シス型とトランス型の2種類の幾何異性体が存在します。主に利用されているトランス型は、融点-76.5℃、沸点104.0℃、密度は0.853 g/cm3 (20℃) です。
シス型は融点-69℃ですが、利用が少ないこともあり、その他の物性的情報はあまり明らかになっていません。常温では液体で存在しており、無色透明です。
光や空気に触れると淡黄色に変化したり、刺激臭があったりすることが特徴です。
クロトンアルデヒドには前述の通り、2種類の幾何異性体が存在しますが、主にはトランス体が利用されています。そのため、製品として販売されているものもトランス体がほとんどです。
トランス体は、主には有機合成用の研究開発用試薬製品として販売されており、25mL , 500mLなど実験室で取り扱いやすい容量の種類があります。また、アセトニトリル、水、メタノール溶液も製品として存在しています。
一方、シス/トランス混合物は、工業用の医薬品・農薬原料として購入することが可能です。こちらは、工場用途に向けて、タンクローリー・ドラム・石油缶、と大型の荷姿での提供となっています。
図3. クロトンアルデヒドの合成法と反応の例
クロトンアルデヒドは主にアセトアルデヒドの縮合によって合成されます。また、アルドールを鉱酸と共に加熱し、反応物を蒸留することで得ることも可能です。
クロトンアルデヒドの反応性としては、アルデヒド基を有するため、重合しやすい性質があります。また、空気中に放置しておくと、徐々に空気中に含まれる酸素によって酸化されてクロトン酸となります。
クロトンアルデヒドは引火点が13℃と低く、引火性の物質です。そのため、消防法では「危険物第四類・第一石油類・危険等級Ⅱ」に指定されています。
また、蒸気には激しい刺激臭と催涙性があり、有毒であることが知られています。そのため、労働安全衛生法においては、「変異原性が認められた既存化学物質」、「健康障害防止指針公表物質」「名称を表示すべき危険物および有害物」などに措定されています。
取り扱いの際には、ゴーグルを使用するなど、注意が必要です。
参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/123-73-9.html
https://www.env.go.jp/chemi/report/h18-12/pdf/chpt1/1-2-2-09.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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