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キサントンについての概要、用途、原理などをご説明します。また、キサントンのメーカー8社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
1993年~2019年に日本化薬株式会社医薬研究所にて医薬品の研究開発、各種生体試料の分析に従事。危険物取扱者、放射線取扱主任者として施設管理業務も担当。2019年に同業他社に転職、現在まで同様の業務を担当。専門書執筆・翻訳・校閲活動も行っている。>LinkedIn: h
キサントンとは、化学式C13H8O2で表され、2つのベンゼン環がエーテルとケトンで橋渡しされた3環の構造を持つ有機化合物です。
CAS番号は90-47-1で、別名として「ゲニシド」「ベンゾフェノンオキシド」などがあります。キサントンは、サリチル酸フェニルを加熱することで合成することが可能です。また、天然にはハルンガナやガルシニアに存在することが知られています。
キサントンは、1939年から殺虫剤として、特にコドリンガの卵や幼虫を駆除するために使用されています。また、血液中の尿素濃度の測定に用いられるキサンチドロールの原料です。キサントンを還元することで、キサンチドロールを得られます。
キサントンの比重 (密度) は約1.1607、融点は173~177℃、沸点は349~350℃です。水にはほとんど溶けず、エタノールやエーテルに溶けにくく、クロロホルムにはよく溶けます。
常温では固体で存在しており、白色から薄い褐色または薄い紅色をしています。通常の条件では、安定性が高いです。ただし、有機化合物であるため強酸化剤と混合すると大変危険です。光によって変質する可能性も考えられるので、保存の際は遮光する必要があります。
経口毒性があり、GHS区分3 (LD50が50mg/kgを超え300mg/kg以下) にあたります。危険物船舶運送及び貯蔵規則、航空法では毒物類・毒物に該当し、輸送に関する国連番号はUN2811で毒性固体 (有機物) に該当しています。
一方、毒物及び劇物取締法では毒物や劇物に定められていない状況です。また、消防法上の危険物でもありません。PRTR法、輸出貿易管理令にも非該当の物質です。
キサントン誘導体にはマンゴスチン (α-mangostinやγ-mangostin) と呼ばれるグループがあり、抗菌活性、抗癌活性、抗酸化活性、抗炎症効果など多様な生理作用を持つことが示唆されています。これらはその名の通り、植物のマンゴスチン (mangosteen) の果皮に含まれているものです。
このように植物由来の特異な化学物質をファイトケミカルと呼びます。その他のキサントン誘導体やその配糖体にも、生理活性を持つファイトケミカルが多数知られています。これらの中にはサプリメントとして商品化されているものもあり、植物マンゴスチン由来のマンゴスチンエキスなどがその例です。
なお、簡略化した表現でこのようなキサントン構造を有するファイトケミカルをすべて含んでキサントンと称することがありますが、本来はキサントン類と呼ぶべきです (英: xanthones) 。キサントノイドと呼ぶこともあります。これらのファイトケミカルがキサントンそのものでないことに、十分な注意が必要です。
まず安息香酸からベンゾイル補酵素Aが作られます。これは原料段階で、安息香酸由来のベンゼン環が1つの状態です。
これに3分子のマロニル補酵素Aが反応し、2,4,6-トリヒドロキシベンゾフェノンの形になります。マロニル補酵素Aの3分子を用いて新たな環が形成され、2つの環の間をケトン基がとり持っている状態です。
次いで、ベンゾフェノン-3'-ヒドロキシラーゼとシトクロームP450モノオキシゲナーゼの作用により、2,3',4,6-テトラヒドロキシベンゾフェノンが生成します。これは水酸基が付加された状態です。
この状態からキサントンシンターゼの作用により、3つ目の環が形成されキサントン構造となります。この例のように、天然に存在するキサントノイドは水酸基を持つものがほとんどであり、純粋なキサントンはわずかです。
参考文献
https://labchem-wako.fujifilm.com/sds/W01W0124-0004JGHEJP.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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