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インドールについての概要、用途、原理などをご説明します。また、インドールのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. インドールの基本情報
インドール (Indole) とは、分子式 C8H7Nで表される含窒素複素環式有機化合物です。
ベンゼン環とピロール環が縮合した構造をとります。CAS登録番号は、120-72-9です。分子量 117.15、融点52-54℃、沸点253-254℃であり、常温では白色からわずかにうすい褐色の結晶、もしくは結晶性粉末です。強い刺激臭を呈します。密度は1.22g/cm3、酸解離定数pKaは16.2、塩基解離定数 pKbは17.6となっています。
バクテリアがアミノ酸の1種であるトリプトファンを分解する際にできる分解産物として生成される物質です。その他にもジャスミン油・コールタール・腐敗たんぱく質・哺乳類の排泄物などにも含まれています。
インドールの臭いは、便臭に似た臭いと形容されますが、非常に低濃度の場合は花のような香りを呈する物質です。そのため、香水や香料の成分、花精油調合原料としての用途があります。天然のジャスミン油は、およそ2.5%のインドールを含有しているとされますが、天然オイルはコストが高いため、インドールは合成ジャスミン油の製造にも用いられています。
また、インドールの構造 (インドール環) はいろいろな有機化合物、特に生体物質に含まれています。多くの重要なアルカロイドにインドール母核構造が存在しており、インドール誘導体から作られた医薬品は多いです。
インドール誘導体の一部は19世紀末まで重要な染料の成分として用いられていました。インドールという名前は、植物由来の染料物質である「インディゴ」に由来しています。化学的には、亜硝酸イオンの検出や、有機合成原料 (染料、アルカロイドなど) などの用途で用いられます。
図2. インドールの化学的性質
インドールはベンゼン環とピロール環が縮合した構造を取っている有機化合物です。ピロールと同様、窒素原子の孤立電子対が芳香環の形成に関与しているため、インドールは塩基ではありません。
ただし、塩酸などの強酸を用いるとインドールをプロトン化することができます。この際、エナミンと同様の反応性を示すため、N1位ではなく、C3位でのプロトン化が起こります。尚、インドールに対応する置換基はインドリル基と呼ばれます。インドールの化学反応では、C-3位での求電子置換反応、C-2位でのリチオ化反応、酸化、環化付加などの例を挙げることができます。
インドール環は様々な有機化合物に含まれています。代表的な例として、トリプトファンやインドールアルカロイドなどが挙げられます。合成化学・製薬化学的観点で非常に重要な構造です。
インドールは求電子置換反応を3位に受けやすいため、3位置換体誘導体が多く見られます。代表的なものは、神経伝達物質のセロトニンやメラトニンや、幻覚作用を示すアルカロイド (麦角アルカロイドなど) などです。また、インドリル-3-酢酸、IAAなどのオーキシン (植物ホルモンの一種) や、医薬品ではインドメタシン (非ステロイド性抗炎症剤) 、ピンドロール (βブロッカー) などにインドール構造を見ることができます。
図3. インドールの合成方法
インドールはコールタールの主要な成分であり、220℃から260℃の蒸留フラクションから得ることが可能です。インドールおよびその誘導体は様々な方法でも合成可能ですが、主な工業的合成経路ではアニリンとエチレングリコールとを出発原料とします。この合成は、触媒存在下、200℃から500℃の間で行われ、気相反応によって反応が進行します。一般的に、収率はおよそ60%程度です。
インドール及びその誘導体の合成法については、その他にも様々なものが報告されていますが、有名な合成方法には、フィッシャーのインドール合成、福山インドール合成などがあります。
現在、市場で販売されているインドールは主に開発研究用試薬製品です。製品容量は、1g , 10g , 25g , 100g , 500gなど、実験室で取り扱いやすい容量で販売されています。メーカーによって室温保管である場合と、冷蔵保管として取り扱われる場合があります。
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
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