全てのカテゴリ
閲覧履歴
アミノフェノールについての概要、用途、原理などをご説明します。また、アミノフェノールのメーカー6社一覧や企業ランキングも掲載しておりますので是非ご覧ください。
図1. アミノフェノールの構造
アミノフェノールとは、フェノールのベンゼン環上の水素原子うちの一つをアミノ基で置換した有機化合物です。
アミノ基の位置によって、o-アミノフェノール (オルトアミノフェノール)、m-アミノフェノール (メタアミノフェノール)、p-アミノフェノール (パラアミノフェノール) の3種類の異性体が存在します。3つの異性体は全て常温では固体であり、それぞれ「白色ないし淡黄色の結晶、針状の形」 (オルト体) 、「白色」 (メタ体) 、「無色板状晶」 (パラ体) です。特に、パラ体は空気中で徐々に酸化し、色が褐色に変わるとされています。
アミノフェノールの分子量は109.13、密度はそれぞれ、オルト体: 1.328g/cm3、メタ体: 1.276g/cm3、パラ体: 1.13 g/cm3であり、3種類ともエタノールなどの極性溶媒に溶けやすい物質です。水への溶解度は、オルト体: 2.0×103mg/L (20℃) 、メタ体: 26g/L (20℃) 、パラ体: 16g/L (20℃) でそれぞれ異なります。
図2. アミノフェノールの化学反応
アミノフェノールは、3種類とも有機合成化学における重要なビルディングブロックとして用いられます。すなわち、医薬や染料などの原料です。
具体的な合成の例としては、p-アミノフェノールと無水酢酸を反応させるアセトアミノフェンの合成や、o-アミノフェノールからの複素環の合成が挙げられます。また、m-アミノフェノールから合成される3- (ジエチルアミノ) フェノールは、蛍光色素を合成するにあたり重要な中間体です。
また、o-アミノフェノールは、還元剤として働くため、写真現像薬の一種です (製品名、Atomal・Ortolなど) 。m-アミノフェノールには、染料、感熱色素、農薬、アラミド繊維用原料などの用途もあります。p-アミノフェノールは、ゴム用老化防止剤、毛皮用酸化染料に利用されるほか、o-アミノフェノールと同様、写真現像薬にも使用されています。
図3. アミノフェノールの合成方法と重要な化学反応の例
アミノフェノールの原理を製造方法や性質の観点から解説します。
フェノールをニトロ化するとo-ニトロフェノールとp-ニトロフェノールの混合物が生成し、還元によりo-アミノフェノール、及び、p-アミノフェノールを得ることが可能です。これは、フェノールのヒドロキシ基のオルトパラ配向性に由来します。ニトロフェノールの還元には、適切な還元剤 (NaBH4など) 、または水素と触媒 (Raney Niなど) を用いた水素化反応などを用います。
このオルトパラ配向性のため、メタ体の合成では全く異なる合成経路を用いることが必要です。m-アミノフェノールの合成方法は、3-アミノベンゼンスルホン酸と水酸化ナトリウムを245°Cで6時間熔融することによる合成、若しくは、レゾルシノールと水酸化アンモニウムの置換反応などが用いられます。
o-アミノフェノールは隣接するアミノ基とヒドロキシル基が分子内および分子間水素結合を形成する性質があります。
また、アミノ基はジアゾ化することが可能で、他の芳香族または共鳴染料種にカップリングして、染料化合物の合成に用いられます。特にo-アミノフェノールのジアゾ化化合物は金属錯体を形成する三座配位子として有用です。
アミノフェノールは、研究・開発用試薬製品のほか、産業用途では酸化染料として販売されています。オルト・メタ・パラの異性体は、混合物ではなく通常それぞれ別の製品です。
試薬製品としては25g , 500gなどの小単位販売ですが、酸化染料としての製品は15kg , 20kgなど大容量で販売されています。
参考文献
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/123-30-8.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/95-55-6.html
https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/gmsds/591-27-5.html
https://www.env.go.jp/content/900411196.pdf
https://www.env.go.jp/chemi/report/h15-01/pdf/chap01/02-3/05.pdf
https://www.env.go.jp/chemi/report/h16-01/pdf/chap01/02_3_6.pdf
*一部商社などの取扱い企業なども含みます。
社員数の規模
設立年の新しい会社
歴史のある会社