燃焼試験とは、材料が燃焼する際の特性や安全性を評価するための試験のことです。
燃焼試験では、生地やプラスチック、発泡材料などの素材の試験片に炎を接触させたときの反応や燃焼速度、燃焼面積、炎の持続時間などを測定します。
生地の場合、試験片を45度に傾けた状態で燃焼の広がりや残炎時間、残じん時間を確認し、プラスチック材料の試験では、規定された炎を一定時間接触させた後、燃焼時間や滴下物の有無などを評価基準とします。
燃焼試験の使用用途
燃焼試験の使用用途として建築分野、電気・電子製品、自動車・航空分野、衣料・繊維産業、特殊用途の5つを解説します。
1. 建築分野
建築材料は火災時の安全性が重要です。燃焼試験は、壁材、断熱材、床材などがどの程度火に強いかを評価するために用いられます。試験結果にもとづき、建築基準法や防火基準への適合性が判断されます。
2. 電気・電子製品
電気機器の部品に使われるプラスチックや絶縁材料は、燃え広がりやすさ、滴下物の有無などを燃焼試験で確認します。試験結果により、製品が国際的な安全規格(例:UL規格)を満たしているかどうかが判断されます。
3. 自動車・航空分野
自動車や航空機で使用される材料も、火災リスクを最小限に抑えることが求められます。特にシートや内装材、電線の被覆材などは、燃焼挙動や有毒ガスの発生有無を厳格に評価します。
4. 衣料・繊維産業
衣料品や家庭用繊維製品も、燃焼試験によって安全性を確認します。特に子供服や作業服、防炎カーテンなどでは、燃え広がりにくい性能が求められます。
5. 特殊用途
軍事装備や化学防護服など、特殊な用途で使用される材料にも燃焼試験が必要です。特殊用途では極限環境下での性能を評価するため、特定の燃焼試験基準を満たす必要があります。
燃焼試験の原理
燃焼試験の原理として燃焼のメカニズム、試験片の条件設定、測定項目、規格との関連の4つを解説します。
1. 燃焼のメカニズム
燃焼は、材料が酸素と化学反応を起こし、熱と光を発生させる工程です。燃焼試験では、次の3要素に注目します。
- 発火点:材料が自己発火する最低温度。
- 燃焼速度:材料が炎にさらされた後、燃焼がどのように進行するか。
- 炎の広がり:燃焼が材料表面をどの程度早く広がるか。
2. 試験片の条件設定
燃焼試験では、試験片の形状やサイズ、環境条件が厳密に規定されています。試験片の条件設定として以下のの2つに注目します。
- 温度と湿度:試験片は一定の環境条件で前処理されます。
- 試験片の固定方法:水平または垂直に固定するなど、試験の種類に応じた設定を行います。
3. 測定項目
燃焼試験では、以下の指標が測定されます。
- 残炎時間と残じん時間
- 燃焼速度
- 滴下物の有無と着火の有無
- 炎の広がり範囲
4. 規格との関連
燃焼試験は、UL規格、ISO規格、JIS規格など、各国の規格に準拠して実施されます。
燃焼試験の種類
燃焼試験の種類として水平燃焼試験、垂直燃焼試験、発泡材料燃焼試験、薄手材料燃焼試験、特殊試験の5つを解説します。
1. 水平燃焼試験
水平燃焼試験は、試験片を水平に固定し、一定時間炎を当てる試験です。燃焼速度や燃焼距離を測定し、材料の燃え広がりやすさを評価します。代表的な規格はUL 94 HB試験です。
2. 垂直燃焼試験
垂直燃焼試験は、試験片を垂直に固定して炎を当て、燃焼時間や滴下物の有無を測定します。UL 94 V試験では、V-0、V-1、V-2の評価基準があります。
3. 発泡材料燃焼試験
発泡材料燃焼試験は、発泡プラスチック材料を評価する試験です。試験片を水平に固定し、残炎時間、残じん時間、燃焼距離などを測定します。
4. 薄手材料燃焼試験
薄手材料燃焼試験は、薄手の試験片を筒状にして垂直に固定し、燃焼挙動を観察します。薄手材料燃焼試験は、薄い材料に特化した評価方法です。
5. 特殊試験
500W以上の強い炎を使用した燃焼試験など、特殊な条件下での評価を行います。