設備保全システム

設備保全システムとは

設備保全システムとは、生産設備や産業機械の維持管理を効率化し、安定稼働を支援するシステムです。

設備保全システムは、機械や装置の稼働状況を監視し、異常を早期に検知することで突発的な故障を防止します。さらに設備点検や修理履歴の蓄積により、定期的なメンテナンス計画の立案や予知保全の実施を可能にします。

設備保全システムの重要な特徴は、稼働データの収集や解析を通じた効率的な稼働管理を実現できる点です。これにより、故障発生率の低減や設備寿命の延長が可能となり、安定した生産体制を維持できます。産業現場におけるコストの削減や品質の維持に寄与することも大きな利点です。近年では、IT技術やIoT技術と統合することで高度な自動化と遠隔監視が進展しています。

設備保全システムの使用用途

設備保全システムの主な使用用途は以下のとおりです。

1. 製造業

設備保全システムは、自動車・半導体・食品加工など多岐にわたる製造業で利用されています。

大量生産ラインでは、停止による損失が極めて大きいと言えます。システムを通じた計画的な保守作業により、不良品の発生率の抑制や生産性の向上が可能となり、顧客への安定供給にもつながります。

2. エネルギー

火力発電設備・風力発電設備・水処理プラントなど、エネルギー関連設備は連続稼働が前提となるため、システムによる常時監視が欠かせません。

温度や振動のデータをリアルタイムに収集することにより異常な傾向を早期に特定し、計画停止の期間に合わせたメンテナンスを実施できます。設備停止が電力供給に直結するため、保全システムを導入する効果は大きいでしょう。

3. 物流・インフラ

物流センターや鉄道システムにおいても、搬送設備や車両の状態を把握するために保全システムが活用されています。

コンベヤーや自動倉庫は、短時間の停止が大規模な配送遅延を引き起こすため、稼働情報を正確に分析して適切な措置を講じます。鉄道では、車両や線路設備に関するセンサー情報を収集し、計画的な保守により安全性の向上を図っています。

4. 建設・建物設備

建設分野やビル設備管理においては、空調機器やエレベーターなどの複合設備を対象にシステムを利用します。

居住者や利用者の安全を確保するため、稼働状況を記録して異常を検知し、迅速な修繕対応を実現します。省エネルギー効果も同時に期待でき、持続可能な施設の運営に寄与します。

調理ロボット

調理ロボットとは

調理ロボットとは、人間の代わりに食材の調理や盛り付けを自動で行う機械製品です。

食材の準備から盛り付けまでを全自動で行うタイプや、人との協働作業を想定したハイブリッド型などがあり、導入目的や現場の規模に応じて選定できます。近年は、プログラム制御に加え、画像認識やセンサー連動AIによる食材状態の判別など多様なAI技術が組み込まれています。

調理ロボットは、飲食業界における人手不足の対策や調理品質の均一化を目的に導入が進んでいます。炒める・揚げる・煮るといった調理作業を自動化するだけでなく、食材の投入や仕上げの盛り付けまで対応できる機種も存在します。センサーやカメラを活用して、温度や焼き加減をリアルタイムで制御することで最適な仕上がりを再現できます。

調理ロボットの使用用途

調理ロボットは、食品を扱う業界を中心に、効率化と品質管理を重視する現場で活用されています。代表的な用途を以下に示します。

1. 外食業界

ラーメンや丼物、フライ料理などの調理工程を自動化し、店舗ごとの味のばらつきを防ぎます。人手不足が深刻化する外食業界では、ロボットの導入により調理スタッフの負担を軽減し、安定した品質を保ちながらの効率的な営業を実現できます。

2. 食品製造業

冷凍食品や惣菜の大量調理において、均一な味付けや衛生管理を確実に行います。特に加熱や揚げ物といった高温作業をロボットに任せることで作業者の安全性が向上します。さらに製造ラインの自動化により、人的コストを抑えつつ高い再現性を持った製品を安定供給できるため、品質保証と効率化の両立を可能にします。

3. 宿泊業界

ホテルや旅館の厨房では、朝食ビュッフェや宴会料理のように大量かつ多品種の料理が求められます。調理ロボットを導入することで、決まったレシピを正確に再現し、提供スピードを一定に保てるため、顧客満足度を高めることが可能です。

4. 医療・福祉業界

病院や介護施設では、入院患者や高齢者に向けて、栄養バランスの取れた食事を大量に提供する必要があります。調理ロボットを活用すれば、レシピ通りの栄養管理食を高精度で再現でき、味や品質の均一化を実現できます。さらに衛生管理面でも、人の手を介さない工程が増えることで感染リスクを低減できます。

LCP樹脂

LCP樹脂とは

LCP樹脂とは、Liquid Crystal Polymerの略称で、液晶状態の分子配列を持つ熱可塑性樹脂です。

分子鎖が液晶相を形成することで高い剛性と寸法安定性を発揮し、エンジニアリングプラスチックの中でも耐熱性や強度に優れています。

一般的なLCP樹脂の連続使用温度は180~240℃程度で、用途やグレードによって異なります。また吸水率が極めて低いため、電気特性の劣化を抑制できます。

さらに流動性に優れ、複雑な形状の精密成形が可能であり、微細構造を必要とする製品や薄肉部品に適しています。加えて耐薬品性も高く、ハロゲンフリーの難燃グレードが多いため、RoHSやREACHなどの環境規制への適合が容易である点も重要な特徴です。そのため電子部品やコネクタ、モバイル機器部品などに広く採用されており、高性能化と小型化を実現するキーマテリアルとされています。

LCP樹脂の使用用途

LCP樹脂は、電子機器を中心に、精密で高い信頼性が求められる場面で使用されています。代表的な用途を以下に示します。

1. 電子部品

表面実装用コネクタやソケットに利用されます。LCP樹脂の高耐熱性により、リフローはんだ付け工程でも形状が安定し、電気特性の信頼性が維持されます。微細ピッチ部品の量産に欠かせない材料です。

2. 通信機器

5G基地局用アンテナやスマートフォンの高周波部品に使われる専用グレードのフィルムやシートがあり、高周波伝送損失低減への貢献が注目されています。低誘電率と低誘電正接により、高周波信号の伝送損失を抑え、通信性能の向上に寄与します。高周波特性を必要とする分野に適しています。

3. 自動車

車載コネクタやセンサー部品に採用されています。高温環境下でも寸法安定性を保持できるため、エンジン周辺部品や電動化システムにおいて信頼性を発揮します。軽量化と耐久性の両立に貢献します。

4. 医療機器

微細さと高精度さが求められるカテーテル部品や診断装置の構造材として使用されます。滅菌処理に耐える性能や薬品耐性があり、安全で長寿命の部品製造が可能です。小型の精密機器において特に有用です。

フォトマスク

フォトマスクとは

フォトマスクとは、半導体や液晶ディスプレイの製造において、基板上に微細な回路パターンを転写するために使用される原版です。

製造世代によって、光学/DUV用の透過型やEUV用の反射型が用いられます。DUV露光用マスクは石英ガラス基板とクロム膜で構成され、EUV露光用マスクは超平坦シリコン基板と複数の反射膜と吸収層で構成されます。露光装置を通じて光を照射することで、回路パターンをレジスト膜に正確に転写します。

フォトマスクは、半導体デバイスの微細化が進む中で極めて重要な役割を担います。特に高精度な欠陥制御や膜厚均一性が求められる最先端半導体プロセスではEUV露光用マスクが主流です。一方で、10nm台より以前はDUV露光用マスクも広く使われています。

フォトマスクの使用用途

フォトマスクは、微細なパターンを必要とする産業で幅広く利用されます。代表的な用途を以下に示します。

1. 半導体

集積回路やメモリ、プロセッサの製造には多数の層が必要であり、それぞれの層を形成するために専用のフォトマスクが使われます。高精度なマスクを使用することで、線幅の均一性や位置合わせ精度が確保され、最先端デバイスの量産が可能になります。

2. ディスプレイ

液晶パネルや有機ELディスプレイの画素構造を形成する際にフォトマスクが利用されます。高解像度ディスプレイでは、微細で均一なパターンが必要であり、マスクの品質が画質や寿命に直結します。大型基板対応のマスクは、ディスプレイ産業に欠かせない存在です。

3. MEMS

加速度センサーや圧力センサーなどのMEMSデバイスは、微細な構造をシリコン基板上に形成する必要があります。フォトマスクを用いたリソグラフィとエッチングの複合工程により、微細かつ複雑な三次元構造を高精度に作り出せます。

4. 太陽電池

シリコン系や薄膜型太陽電池の製造では、電極パターン形成のためにフォトマスクが利用されます。均一なパターン形成によって発電効率が高まり、長期的な信頼性の向上にもつながります。特に高効率セルの開発には高精度マスクが不可欠です。

難削材ステンレス加工

難削材ステンレス加工とは

難削材ステンレス加工とは、耐熱性や硬度が高く切削が難しいステンレス鋼を精密に加工するための専門的なサービスです。

一般的なステンレスと比較して工具の摩耗が激しく、熱伝導率の低さによって加工熱が集中するため、高度な技術と設備が求められます。特にSUS304やSUS316といったオーステナイト系ステンレスは、加工中に加工硬化しやすく、切削抵抗が大きいうえに、バリや表面粗さの問題も生じやすいことから熟練した加工技術が必要とされます。

難削材ステンレス加工サービスを利用することで、高精度な形状加工や長寿命の部品製造が可能になり、航空機・自動車・医療機器などの分野で高い信頼性を確保できます。また高精度CNC複合加工機やコーティング超硬工具、MQL等の最新の切削油制御技術を活用することで、生産効率と高品質加工の両立を図れます。

難削材ステンレス加工の使用用途

難削材ステンレス加工サービスは、高い強度と耐食性を必要とする産業分野で重要な役割を果たします。代表的な用途を以下に示します。

1. 航空機

航空機エンジン部品や機体構造材の一部は、高温や腐食環境に耐えるステンレスが採用されます。難削材加工により、厳しい寸法精度と表面品質を満たした部品を安定供給できます。これにより、安全性と耐久性の両立が実現されます。

2. 自動車

排気系部品や燃料系部品には耐熱性と耐食性が必須です。SUS316などの難削材ステンレスは、耐食・耐熱性の向上や部品の長寿命化を通じて自動車の品質向上に寄与し、結果として環境規制への対応や高性能車両の開発につながります。

3. 医療機器

メスやカテーテル部品など、人体に直接使用される機器には耐食性と生体適合性が求められます。難削材ステンレス加工により、微細で精密な部品を安定して製造でき、医療現場の安全性と信頼性を確保します。

4. 化学プラント

高温高圧下で腐食性流体を扱う配管やバルブには高耐食性ステンレスが不可欠です。難削材加工サービスは、長寿命かつ安全性の高い部品製造を可能にし、安定操業に直結します。難削材ステンレス部品は、高度な溶接・組立技術と組み合わせることで、耐食配管やバルブなどの高精度かつ信頼性の高いシステムの構築が可能です。

カテゴリー
絶対に触らないでください(日本会社ニュース)

ものづくりワールド大阪の開催に合わせて大阪メトロ ニュートラム 車両内100カ所に広告掲出を開始しました

 

10月1日より「ものづくりワールド大阪」に合わせて、大阪メトロ ニュートラム車両内100カ所に広告掲出を開始します。

 
◼︎広告展開の背景

メトリーは、センサー、計測器、加工・工作機器、電子部品、試験機などを含む50万点以上の製品情報を、7,000以上のカテゴリにわたって掲載する、国内最大級の産業用製品検索サービスです。全国のエンジニア・研究者・調達担当者に利用されており、BtoB領域における業務のデジタル化と効率化を支援しています。

この度、2025年10月1日(水)~ 3日(金)にインテックス大阪で開催される「ものづくりワールド大阪」に合わせて電車広告を展開し、製造業に携わる多くの技術者やビジネスパーソンへ直接的にアプローチし、産業用製品検索プラットフォームとしてのメトリーの認知度向上を図ります。

 
■広告掲出概要

・掲出媒体:大阪メトロ ニュートラム 車両内まどステッカー広告(車両ドア100カ所に掲出)
・掲出期間:2025年10月1日~10月31日
・掲出目的:「ものづくりワールド大阪」の来場者をはじめとした製造業関係者への認知拡大

■ 概要詳細

産業用製品検索サイト「メトリー」、「ものづくりワールド大阪」開催期間に合わせて、大阪メトロ ニュートラム 車両内100カ所に広告掲出

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000032842.html

360度カメラ

360度カメラとは

360度カメラとは、一度の撮影で360度すべての風景を記録できるカメラです。

複数のレンズを搭載している点が特徴です。多くの場合、本体の前後に2つの魚眼レンズが取り付けられ、それぞれ180度以上を撮影します。その後、内部で映像を自動的に合成することで一つの全天球イメージを生成する仕組みです。この仕組みにより、その場の空間全体をまるごと記録できます。

撮影された映像をスマートフォンの専用アプリやVRゴーグルで再生することで、自由に視点を動かしながら楽しめます。その場にいるかのような没入感を得られるのが最大の魅力です。また撮影時に画角を気にする必要がなく、後から好きな角度を切り出して通常の写真として保存できます。そのため撮影の失敗が少ない点も利点です。

360度カメラの使用用途

360度カメラは以下のような用途で使用されます。

1. 不動産

不動産業界では、物件をバーチャルで内覧する際に広く利用されます。室内にカメラを設置して撮影するだけで、ウェブサイトを通じていつでも好きな時に物件の確認が可能です。遠方に住んでいる人や、多忙で内覧の時間が取れない人でも、実際に訪れたかのように部屋の広さや雰囲気を体感できます。

2. 観光・イベント

観光地や施設のプロモーション映像にも360度カメラが活用されます。美しい風景や文化的な建造物を360度の映像で紹介することにより、バーチャル旅行のような体験が可能です。現地の魅力をより深く理解し、訪問意欲を高める効果が期待できます。さらに音楽ライブやスポーツイベントといった催し物のライブ配信にも利用されています。

3. 日常・趣味

旅行やアウトドア活動など、個人の思い出を記録する用途でも360度カメラが有用です。壮大な景色だけでなく、その場で楽しんでいる自分や友人の表情までも一つの映像に収められます。後から映像を見返す際に、その時の楽しかった雰囲気全体を鮮明に思い出せます。またドライブレコーダーとして活用する事例も見られます。車両の前方だけでなく、側面なども同時に記録できるため、事故の際には客観的で詳細な状況証拠を残します。

ワイヤレスHDMI

ワイヤレスHDMIとは

ワイヤレスHDMIとは、HDMIケーブルを使わずに無線で信号を送受信する機器です。

通常、パソコンやブルーレイレコーダーなどの再生機器と、テレビなどの表示機器を接続するにはHDMIケーブルが必要でした。ワイヤレスHDMIは、このケーブル接続を不要にする製品です。一般的に、送信機と受信機をセットで使用します。送信機を映像の出力機器に接続し、受信機を表示機器に接続することで、映像や音声を伝送する仕組みです。

配線を気にせずに機器を設置できる点が特徴です。長いケーブルを引き回す必要がなくなるため、部屋の美観を損なわずにスッキリとした空間を保ちます。またケーブルの長さに縛られずに再生機器と表示機器を離れた場所に置けるようになり、設置の自由度が高まります。

ワイヤレスHDMIの使用用途

ワイヤレスHDMIは以下のような用途で使用されます。

1. オフィス

会議室やセミナールームでのプレゼンテーションで広く利用されます。手元のノートパソコンに送信機を接続するだけで、プロジェクターや大型モニターにワイヤレスで画面を映し出します。発表者が入れ替わる場面でも、ケーブルを抜き差しする手間が省け、会議の進行がスムーズです。

2. イベント・商業施設

展示会やイベント会場で、大型スクリーンへ映像を出力する際に活用されます。来場者が行き交う場所で長いケーブルを引き回す必要がなくなり、安全な会場設営に貢献します。また商業施設や店舗におけるデジタルサイネージにも応用できます。パソコンやメディアプレーヤーを目立たない場所に置き、モニターだけを最適な場所へ設置する運用が可能です。

3. 一般家庭

リビングの壁掛けテレビと、少し離れた場所に置いたブルーレイレコーダーなどを接続する際に有用です。壁の中にケーブルを通す工事をすることなく、スッキリとした配線を実現できます。またホームシアターで天井に設置したプロジェクターと再生機器を接続する際にも便利です。部屋を横切る長いケーブルが不要になるため、安全で見栄えの良い環境を簡単に構築できます。

ドッキングステーション

ドッキングステーションとは

ドッキングステーションとは、ノートパソコンなどの端末に複数の周辺機器を一度に繋げられるようにする装置です。

ノートパソコンの利点は持ち運びやすさですが、搭載されている接続ポートの数が少ない場合があります。ドッキングステーションを使うと、ケーブル1本をパソコンに接続するだけで、モニターや外付けハードディスクといった多様な周辺機器をまとめて利用可能です。これにより複数のケーブルを抜き差しする手間が省け、作業効率が向上します。

またパソコン本体にはない種類のポートを補うことも可能で、拡張性を大幅に向上できます。据え置きで使う大型の製品から、持ち運びに便利な小型の製品まで様々な種類があるため、使用環境に応じて選定することが重要です。

ドッキングステーションの使用用途

ドッキングステーションは以下のような用途で使用されます。

1. デスクワーク環境の構築

ノートパソコンを主に使用する人が、オフィスや自宅のデスクで作業効率を上げるために活用します。あらかじめ複数のモニターやキーボードなどをドッキングステーションに接続しておけば、ケーブル1本をノートパソコンに繋ぐだけで快適な作業環境を実現できます。特に複数の大画面モニターを使う作業では業務効率が大きく向上します。

2. 機能拡張

近年、薄型・軽量化が進むノートパソコンやタブレットでは、搭載されるポートの種類や数が減少傾向です。USB Type-Cポートしか搭載していない機器も多く見られます。ドッキングステーションを介することで、従来のUSB Type-A機器や有線LAN、HDMIといった映像出力端子などの必要な機能を補えます。これにより、多様なデバイスと制御機器の接続が可能となります。

3. ケーブル類の整理・集約

パソコンの周辺は、電源ケーブルやモニターケーブルなどで乱雑になりがちです。ドッキングステーションを利用すると、これらのケーブルを一つに集約できます。パソコン本体と周辺機器をケーブル1本で接続するため、デスク上をすっきりと整理できます。

オンラインTOC計

オンラインTOC計とは

オンラインTOC計とは、水中に含まれる有機物の量を連続かつ自動的に測定する分析装置です。

TOCはTotal Organic Carbonの略であり、全有機炭素と訳される水質汚濁を示す指標の一つです。水中に含まれる有機物の総量を、構成要素である炭素の量で表した値です。測定したい水配管などに直接設置し、自動で試料水を採取して分析を行います。これにより、水質の状態をリアルタイムで把握する仕組みです。

従来は、採取した水を分析室に持ち帰って測定していました。それに対し、オンラインTOC計を用いることで、24時間体制での連続監視を実現できます。測定原理は、試料水中の有機物を紫外線や燃焼によってCO2に分解し、その量を赤外線分析計で測定する方法が一般的です。

オンラインTOC計の使用用途

オンラインTOC計は以下のような用途で使用されます。

1. 半導体製造装置

半導体の製造プロセスでは、シリコンウェハの洗浄などに超純水を大量に必要とします。ナノメートル単位の微細な電子回路を形成する半導体にとって、水に含まれるわずかなTOCも欠陥を引き起こす原因です。オンラインTOC計を超純水の製造ラインや使用ポイントに設置することで、万が一の汚染発生も瞬時に検知できます。

2. 化学プラント・発電所

化学プラントや発電所で使用されるボイラは、高温・高圧の蒸気を発生させるために純水を使用します。このボイラへ供給される水に有機物が含まれていると、配管の腐食やスケールの付着に直結します。配管の腐食は設備の寿命を縮め、スケールの付着は熱の伝達を妨げてエネルギー効率を低下させます。オンラインTOC計で水質を連続監視することで、プラント全体の安全で効率的な稼働を維持できます。

3. 環境設備

工場から河川や海へ排出される水の水質管理は、環境保全における重要な課題です。オンラインTOC計は、工場排水の最終放流口に設置し、排出基準を遵守していることを24時間体制で監視するために用います。また河川などの公共用水域に設置し、水源の水質を常時監視する用途でも活用されます。