カットアウト

カットアウトとは

カットアウトとは、電気を遮断するために作られた小型の開閉器です。

特に6,600Vまたは3,300Vなどの高圧電圧に使用される場合が多く、高圧カットアウトとも呼ばれます。カットアウトのケースは絶縁性の高い磁器で作られており、このケースの蓋を開けることで回路が開放します。

また、内部には短絡を起こした際に流れる大電流による上位回路への波及事故を防止するために、ヒューズが内蔵されます。

カットアウトの使用用途

カットアウトは高圧配電線路に使用されることが多いです。以下はカットアウト使用箇所の一例です。

  • 柱上トランスの上流側
  • 屋内トランスの上流側
  • アレスタの上流側
  • 進相コンデンサの上流側

下流の機器が故障した際に、上流側に流れる事故電流を遮断する目的で設置されます。また、工事やメンテナンスの際にはカットアウトで回路を開路して、機器へ供給される電圧を遮断して作業員の感電事故を防止します。

カットアウトの原理

カットアウトの中でも多く使用される箱型カットアウトは、本体、蓋、ヒューズ・ヒューズリンクなどで構成されます。

1. 本体

カットアウト本体は絶縁性能・対候性が共に高い磁器で製作されます。そのため、長期の使用にも劣化があまり発生しません。磁器製の本体には取付ボルトが埋め込んでおり、このボルトで架台や柱上に取り付けます。

また、本体には配線を入線する配線口が上下に設けられ、内部の端子でヒューズリンクと強固に接続されます。

2. 蓋

蓋は本体と蝶番などで接続されています。表面にはフックが取り付けられており、操作用フック棒などで回路を開放可能です。蓋内部にはヒューズなどが取り付けられており、開路して開放することで取替ができる構造です。

3. ヒューズ・ヒューズリンク

ヒューズは下流配線が短絡した際に回路を遮断する目的で設置される部品です。ヒューズ内部にはヒューズエレメントと珪砂が収められています。短絡時にはヒューズエレメントが断線し、珪砂がアークを消弧することで保護能力を果たします。

ヒューズリンクにはブレード (接触刃) が取り付けられており、本体の固定電極端子に挿入されることで回路を導通させます。

カットアウトの種類

カットアウトは複数種類販売されており、状況や取り付け場所に応じて使い分けます。

1. ダブルヒューズ型カットアウト

ダブルヒューズ型は内部に2つ限流ヒューズを有するカットアウトです。一段目が過電流によって断線した場合、二段目が自動で接続されます。落雷などによる一時的な過電流が発生しても停電を防止することが可能です。

2. 耐振型カットアウト

耐振型カットアウトは振動に強いように設計されたカットアウトです。通常のカットアウトよりもヒューズや蓋を保持する能力が高い点が特徴です。クレーン上など、振動の発生が予期される場所で使用します。

3. 耐塩型カットアウト

海辺などの塩害発生地域で使用されるカットアウトです。表面に塩分が付着した際の耐電圧値などを汚損特性と言います。耐塩型カットアウトはこの汚損特性が高い点が特徴です。

内部の構造は通常のカットアウトと違いはありません。ただし、配線入線口や蓋との接合部などには塩分侵入防止を目的にパッキンが取り付けられます。

4. 円筒型カットアウト

円筒型カットアウトは円筒碍子の内部にヒューズを設けたカットアウトです。電車への給電などに使用されます。円筒の下部から限流ヒューズを引き抜くことができる構造です。

カットアウトのその他情報

カットアウトの寿命

カットアウトは風雨や紫外線の影響を受けて経年劣化します。経年による寿命は10年~15年です。

また、負荷電流の開閉回数は50~100回程度が限度であり、短絡電流の遮断は5回程度が限度です。したがって、保守などの場合は可能な限り無電圧または無負荷状態で開放することが推奨されます。

ただし、上記はあくまでも目安であり、設置環境や使用状況によって寿命は変動することに注意が必要です。

参考文献
https://koujishi.com/glossary/cutout/
https://denki-study.com/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です