DCファンモーター

DCファンモーターとは

DCファンモーターとは、モーターによってファンを回転させるもののうち、直流電流で駆動するものです。

構造によりプロペラファン、ブロワ、クロスフローファンなどの種類に大別されますが、送風を行うという点では共通しています。DCファンモーターはどれも大きさや風量、特性があります。

そのため、カタログスペックを確認し、用途や目的に応じて使い分けることが大切です。最も一般的なものは、プロペラファンによる送風なので、選定に迷った場合はこちらを選択するのが無難です。

DCファンモーターの使用用途

DCファンモーターは、ファンの回転で空気を送風したり、対流させて家電製品やOA機器などの電子機器内部を冷却したりするために使用されています。DCファンモーターによる冷却には、内部の熱を外部に排出する方法と外部の熱を内部に流入させる方法があります。

温度が上昇すると、電子機器の熱暴走を招くだけでなく、故障の原因も起きやすいです。DCファンモーターによる冷却は、空気の対流によるものなので、機器の構造や温度などを考慮して、最も効率の良い方法を選ぶことが求められます。

DCファンモーターの原理

DCファンモーターの構造は、大きく分けて構造部材のケーシング、送風のためのファンやランナー、それを回すためのDCモーターに分けられます。DCモーターでファンを連続回転させることで、空気を圧送して送風します。

プロペラファンの場合、送風方向は回転軸と同一方向になるため、小型で大きな風量が得られ、比較的静かに回転します。対してブロアは回転軸と垂直になり、送風の吐出口が絞られるために空気の流れを集中させて高い静圧を得られます。

DCファンモーターの構造

代表的なファンは、羽根車、ケーシング、主軸、軸受、軸封から成り立っています。

1. 羽根車

風をつくる部分でファンにおいて心臓部となる部品です。送風の効率にかかわり用途や環境などに応じてさまざまなものがあります。

2. ケーシング

ファン自体の外枠と内側の風の流れ道をつくるもので、ファンの吸入部や吐き出し部をつくる部分です。

3. 主軸

ファンの中心の軸になる部分で、羽根車を支える強度をもちます。

4. 軸受

主軸の回転運動を受ける部分で、その作用をスムーズにし支える部分です。軸受があることにより、摩擦や摩耗を軽減できます。品質が悪いと、機械的な摩耗などにより故障につながるため、重要な部分です。

DCファンモーターのその他情報

1. 送風抵抗とは

空気を流路内に送る際、流路内に空気が進む方向とは逆向きに送風抵抗が発生します。流路内に送風を妨げる障害物があるほど送風抵抗は大きくなり、風量は減少します。送風抵抗は、装置内の静圧を上昇させるエネルギーとなり、圧力損失とも呼ばれます。

ファンによる冷却の場合、送風抵抗が発生するため、内部構造による圧力損失を考慮してファンの性能を選ぶ必要があります。また、ファンによる冷却を考えると、送風を妨げることない構造となるような設計が重要です。

必要な風量や静圧を得るために、ファンを複数使用する場合は、直列、並列どちらで使用するのが最も効率がよいかも検討します。一般的には、ファンを並列に使用すると風量が大きくなり、直列に使用すると静圧が高くなります。

2. ACファンモーターとの違い

DCファンはモーターと回路で回転速度を変えることが可能です。一方、ACファンは交流電源の周波数で回転速度が固定されます。現在は、回転速度を自在にコントロールできるDCファンが主流になっており、AC電源でDCファンを回転させるACDCファンもあります。

3. DC軸流ファンとは

DC軸流ファンとは、直流駆動の軸流ファンになります。軸流ファンはフレーム中央に羽根が取り付けられており、羽根正面から空気を取り込み、後方に排出します。

ファンを使って風を送る方向が軸方向であり、高風量・低騒音といったメリットが挙げられます。発熱した物質の冷却用途として幅広く使用されています。抵抗物による風量の増減が比較的少ないことが、軸流ファンの特徴です。

4. その他ファンの種類

その他の軸流ファンの種類として、遠心ファン、斜流ファンが挙げられます。遠心ファンは、風を送る方向が後方ではなく、吸い込んだ方向とは90度の方向です。

また、斜流ファンは、軸流ファンと遠心ファンの間のようなファンです。羽根の形状によって軸方向から吸気し、軸の斜め方向に圧力が加わることで、排気方向を変えて送風します。小型・軽量になることが特徴です。

遠心ファンは装置のスペース上、風を後方に送風できない際に適したファンになります。密集した装置の内部の空気を引き出す時等に使用されます。軸流ファンで代表的なファンモーターは、プロペラファンです。翼状のプロペラをケーシング内に置き、回転させることで、回転軸方向に風を発生させます。

風の流れが回転軸方向になるため、コンパクトな構造になります。遠心ファンで代表的なファンモーターは、ブロワです。ブロワは、円筒状に配した前向きの羽根の遠心力によって回転軸にほぼ垂直な向きに風の流れを作ります。

参考文献
https://www.orientalmotor.co.jp/tech/reference/cooling_fan01/
https://www.nidec.com/jp/technology/motor/basic/00011/
https://techcompass.sanyodenki.com/jp/training/cooling/fan_basic/002/index.html
https://fan-blower-soufuuki.com/handbook1_1/handbook1_9

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