自記温度計

自記温度計とは

自記温度計

自記温度計とは、温度の測定結果を自動で記録する仕組みになっている温度計です。

バイメタル温度計やブルドン管温度計などに、温度の変化に連動して動くようにペンをつけ、一定の速度でゆっくりと回転する円筒に巻きつけた紙の上に記録することで経時変化を記録します。

自記温度計のほかに自記湿度計や自記圧力計もあり、また、湿度や圧力を温度と同時に測定できるものもあります。

自記温度計の使用用途

1. 気温観測、一般的な温度管理

自記温度計は、自記湿度計や自記圧力計と共に、一般的な気象観測や、美術館や倉庫などでの室温管理に利用されている装置です。気象観測では、百葉箱や通風筒 (気象台で用いられる) などの中に設置され、直射日光や雨風の影響を防いで測定されます。

産業用途でも広く使用されており、例えば石油産業では、石油関連施設での温度記録管理や石油パイプラインの温度記録管理などの用途があります。それ以外では、食品関連工場での温度記録管理のほか、広く一般産業における各種配管内の温度記録管理に用いられます。

その他に用いられている産業分野には、次のようなものがあります。

  • 一般工業
  • 化学工業
  • 建設業
  • 鉱業
  • ゴム工業

自記温度計は、温度記録を必要とする産業一般で利用されています。

2. 冷蔵庫・冷凍庫

自記温度計は、業務用冷蔵庫・冷凍庫・保冷庫・保温庫の温度記録用途で用いられる場合があり、専用の製品が販売されています。主に下記のような場所で用いられており、食品産業や医療関連施設を中心として使用されています。

  • 血液や、ワクチンや、抗生物質などを保管する医療用保冷庫
  • 生鮮食品や、乳製品等を保管する冷蔵冷凍庫
  • 薬品保管庫

自記温度計の原理

1. 概要

自記温度計は、温度の経時的変化を自動的に記録可能な装置です。自記温度計で用いられる原理には、次のようなものがあります。

  • バイメタルブルドン管を用いて、その熱膨張により、自記装置のペンを動かす
  • 白金抵抗温度計を用いて、抵抗の変化により電流を変化させることで、記録電流計で温度を記録させる

2. バイメタル式温度計

バイメタルとは、2枚の薄い金属板を張り合わせたものです。金属は種類により温度変化にともなう膨張率が異なります。そのため、異なる種類の金属をはり合わせた金属板であるバイメタルは、温度によってたわみ方が変化します。自記温度計は、このたわみの変化をペンの上下動に変換し、その変動を、回転する円筒に張り合わせた記録紙に自動的にインクペンで記録する仕組みです。

3. ブルドン管式温度計

ブルドン管式自記温度計は、本体内部に封入された液体温度による膨張圧の変化を利用する温度計です。

感温部で温度を感知してリード線を経てブルドン管に導き、その動きを拡大して温度指示を行う仕組みです。このタイプでも記録用紙を回転する円筒に張り合わせ、ペンの動きを温度変化と連動させることで自動的に温度を記録します。

自記温度計の種類

自記温度計は、前述の通り、バイメタル式やブルドン管、白金抵抗温度計などの機構の種類があります。

記録紙で記録する種類の温度計には、記録できる期間によって日巻き、週巻き、1ヶ月巻きなどの種類があります。種類によって、ドラムの回転速度 (歯車のギア数) が異なっている仕組みです。通常、週巻きの記録紙の場合は、縦軸には温度を示す目盛りが1℃ごとに、横軸には時刻目盛りが1時間ごとに記されています。

また、用途別では、2カ所の被測定対象の温度を1枚の記録用紙に同時記録する2針型の製品や、冷蔵・冷凍庫用製品などの種類があります。冷蔵・冷凍庫用製品の下限温度は、-100℃、-40℃、-20℃などです。

その他、設置場所に合わせて壁掛け用の自記温度計や、携帯型自記温度計などの形状があります。携帯型自記温度計は取手が付いており、持ち運びが必要な現場での温度記録用途に使用されています。このように様々な種類があるため、用途に合わせて適切なものを選択することが可能です。

参考文献
http://www.sanwakeiki.com/category/item/rec-thermo/
https://kotobank.jp/word/%E8%87%AA%E8%A8%98%E6%B8%A9%E5%BA%A6%E8%A8%88-517609
https://www.ebara-keiki.co.jp/publics/index/85/
https://www.andokeiki.co.jp/kisyouyou/zikikeiki/zikikeikitop.html

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です