円筒研削

円筒研削とは

円筒研削とは、円筒状の加工物の外面を研削する加工方法です。

円筒研削に円筒研削盤を使用します。研削盤は回転する研削砥石を加工物に当てて表面を除去し、平滑な面を作る機械です。研削盤の中でも、円筒状の加工物を対象とした機械が円筒研削盤です。研削砥石と逆方向に回転する加工物を当てて、円筒研削を実現します。

砥石を使用するため、高精度な加工が可能です。砥石は砥粒、結合材、気孔の3つの要素で作られています。結合剤は砥粒と呼ばれる鉱物質の結晶粒子と結合し、気孔は研削で切り屑が入るポケットです。

砥石は加工物に対して径方向に移動し、加工物は軸方向に移動します。砥石と加工物の移動方法の違いで、トラバース研削、アンギュラ研削、プランジ研削の3種類に分類可能です。

円筒研削の使用用途

円筒研削では加工物の形状に合わせて研削種類を使い分ける必要があります。

1. トラバース研削

砥石の幅よりも長い加工物を研削したい場合には、トラバース研削を行うと面粗さが向上します。重量があり移動が困難な加工物には、砥石台が移動できるトラバース研削が選ばれています。

2. アンギュラ研削

アンギュラ研削は加工物が段付き形状でも外周面と端面を同時に加工可能です。

3. プランジ研削

プランジ研削は砥石の幅よりも幅が小さい加工物を対象とする場合が多く、加工物に対して強い力を加えられます。

円筒研削の原理

円筒研削は加工物を両端から固定でき、高精度の研削が可能です。

1. トラバース研削

トラバース研削は砥石を固定し、加工物を左右に平行移動して研削します。

2. アンギュラ研削

アンギュラ研削はコマの形状のアンギュラ砥石と呼ばれる砥石を使用する研削方法です。アングルスライドやアンギュラスライドとも呼ばれ、加工物の斜めから砥石で削り取ります。

3. プランジ研削

プランジ研削は砥石を動かし、加工物を固定する方法です。

円筒研削の種類

1. トラバース研削

トラバース研削は砥石よりも長くて段差のない場合に適しています。非常に精度が高いため加工面の仕上がりが美しく、鏡面加工が施された円筒が作れます。

ただし加工物が長いと中央がたわみやすいです。シャフトの回転で摩擦抵抗が大きくなってシールが切れ、油漏れなどのトラブルが起きる頻度も高いです。

2. アンギュラ研削

アンギュラ研削では斜めの角度に設定されているため、加工物の円筒部と端面をまとめて加工できます。効率良く段付きのワークを削り取り、短時間で部品全体の加工が可能です。

トラバース研削のように美しい鏡面や高精度の製品に仕上げることは困難で、細かく精度の高い凸凹を実現できません。主にNC装置が使用され、動作のプログラムが複雑です。経年の劣化で補正する必要があり、大量生産では注意が必要です。

3. プランジ研削

プランジ研削は工作物や砥石をスライドさせずに研削でき、量産部品を加工可能です。砥石に押し当てた加工物が左右に動かず力が強く伝わって効率的に研削できます。動力効率が良く機械がダメージを負わず耐久性が高いです。

しかし砥石の幅以上のワークの切削ができません。深い穴などの加工ではチップが詰まる場合があり、切り屑の排出が重要です。

円筒研削のその他情報

円筒研削の注意点

機械加工の加工精度は高くないため、研磨や研削の工程の追加が必要です。旋盤加工も刃先によっては平面の加工が難しいです。そのため、円筒研削で砥石を押し付け、旋盤切削で作られた山を削るとコストダウンに繋がります。ただし、1段階以上工程が増えて仕掛在庫が増加します。

高精度寸法では、円筒研削によって品質が安定する場合も多いです。円筒研削を用いる際には前工程で残す取り代に注意が必要です。

高精度の旋盤工程を実現しても、焼き入れ工程の熱によって寸法が変化します。そのため、後工程の円筒研削で歪を修正します。つまり旋盤工程や焼き入れ工程などの前工程との連携が重要です。

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