sd295aとは
sd295aは建物の骨組みを造る鉄筋、鉄筋コンクリート用異形棒鋼の規格の1つです。
強度別に10種類に規格化されている中で、汎用性があり流通量が多い鉄筋です。
異形棒鋼とは棒状の鋼表面に、リブや節と呼ばれる突起をつけ、コンクリートやモルタルの密着・定着を高めた鉄筋を言います。
sd295aの「sd」とは英語でsteel(鋼)、de-formed(異形棒鋼)の頭文字を取ったもので、「295」は降伏点の下限値、295N/㎟を表しています。
「a」は、295/㎟の降伏点下限値を持つ鉄筋が2種類存在していたことから、一方をaとし、もう一方をbと区別していたためです。
JIS規格に規定されていた鉄筋でしたが、2020年4月20日にJIS改正がされ、sd295bが廃止されて1種類となったため、sd295aからsd295へと名称変更がされました。
JIS G 3112:2020となり、明記される化学成分の規定もより厳しくなりました。
sd295aはJIS規格から廃止されたため現在では製造されておらず、建築基準法でJIS規格品を使用することが決められている建築現場では、sd295に置き換わりつつあります。
sd295aの使用用途
sd295aは一般住宅の基礎工事に主に使われる異形鉄筋で、他の建築物でもスラブ・壁の配筋や柱の帯筋、梁のスターラップなど主筋を補佐する鉄筋に用いられます。
sd295aが補佐用の鉄筋に向いている理由は2つあります。
- 直径が細め
鉄筋の太さにはD10、D13……D51などの種類があり、Dの隣の数字が大きくなるほど鉄筋の直径が太くなります。sd295aはD10~D16までの細径の鉄筋に採用されており、強度が低いためです。 - 化学成分や降伏点の上限値が不明確
sd295aにはリンと硫黄の数値しか明記されておらず、炭素量が不明なため溶接時の性能が不明な点が挙げられます。また、降伏点の下限値は295/㎟と明記されていますが上限値は示されていないため、sd295aを使用した場合、地震時の建物の崩壊メカニズムが計算しにくいためです。
以上の理由から、太い鉄筋径を必要とする柱や梁の主筋や、高強度が必要な構造物の鉄筋としては用いられず、主筋を補佐する鉄筋として使用される傾向があります。
しかし主筋を補佐する配筋も、応力分散やせん断補強のために非常に重要な役割を持っており、なくてはならない用途と言えるでしょう。