接ぎ木ナイフ

接ぎ木ナイフとは

接ぎ木ナイフとは、接ぎ木を行う際に利用される道具です。

切り出し小刀や切り出しナイフ、接木小刀、接木切り出しとも呼ばれています。接ぎ木とは、植物の繁殖法の1つで、繁殖させたい植物の枝や芽を切り取り、これを別の植物に接ぎ合わせることで、新しい個体を作りだす増殖技術です。移植する部分 (接ぎ合わせる枝や芽) は接ぎ穂と呼び、接ぎ木をされる側の植物は台木と呼びます。

接ぎ木の方法は、最初に土台となる台木を接ぎ木ナイフで削り、接ぎ穂を入れる切り込みを作ります。その切り口に、さし込みやすいように先端を削って形を整えた接ぎ穂を入れ、接ぎ木テープで一定期間固定することにより、台木と接ぎ穂が活着し、1つの植物となって成長していきます。

台木と接ぎ穂のさし込み部分を作る際に、接ぎ木ナイフが使用されます。植物の接ぎ木はとてもデリケートな作業なので、ナイフの切れ味は非常によくできています。

接ぎ木ナイフの使用用途

接ぎ木ナイフは、植物の接ぎ木を行う際に使用されています。接ぎ木の種類は、切り接ぎ、合わせ接ぎ、割り接ぎ、呼び接ぎ、芽接ぎなどさまざまです。切り接ぎには、接ぎ木ナイフと接ぎ木テープを準備します。接ぎ木テープとは、人でいうところの絆創膏のようなもので、台木と接ぎ穂を接着した部分に強く巻くことで固定し、植物同士の活着を早めます。

まず、接ぎ穂にしたい植物から一芽以上ついている若くて勢いの良い枝を選びます。その枝の芽から下数センチほどでカットします。接ぎ木ナイフで、切った枝を斜めに数センチほど削ります。

次に、台木にしたい健康でまっすぐな植物を選び、茎を水平にカットします。その切り口から、形成層と呼ばれる緑色の部分が出るように縦に数センチほど切り込みを入れ、先にカットしておいた接ぎ穂の切り口をさし込みます。形成層が接ぎ穂にくっついていないと生長しないため、しっかりと合わせます。最後に、接ぎ穂と台木の接合部分を接ぎ木テープで巻いて作業終了です。

接ぎ木ナイフの特徴

長所

接ぎ木ナイフの長所は、接ぎ木が成功しやすく、植物を効率よく増やせることです。植物への接ぎ木は、慣れと経験、熟練した技術が必要です。誰もが一朝一夕で取得できるテクニックではありません。接ぎ木ナイフは、接ぎ穂と台木の選定および準備作業に使用します。

接ぎ木は、接ぎ木ナイフ以外の小刀や園芸用のハサミで植物をカットすることもできます。しかし、精密な切断ができないと植物の繊維などをつぶしてしまうことから、活着がうまくいきません。

接ぎ木ナイフは軽くて扱いやすいうえに刃が鋭くよく切れるため、無駄な力を必要とせず、きれいな切り口でカットすることができます。そのため、植物を傷つける可能性が低いことも長所の1つです。

短所

接ぎ木ナイフの短所は、鋭い刃を保つために砥石で研いだり、作業後には汚れを落としてオイルを塗布したりするなど、日常的なメンテナンスが必要なことです。また、接ぎ木ナイフは一般的に刃が薄いため、太い幹などの頑丈な植物の切断には使用できません。

接ぎ木ナイフの種類

接ぎ木ナイフには、おもに下記のような種類があります。

1. ピストル型接ぎ木ナイフ

持ち手が、ピストルのグリップのように緩やかなカーブを描いた形の接ぎ木ナイフです。手にフィットして持ちやすいところが特徴です。薄くて鋭利なよく切れる刃で、植物の形成層新しい細胞を作りだしている組織をつぶさず、きれいにカットできます。

2. 鞘入り接ぎ木ナイフ

接ぎ木ナイフが木製の鞘に入っているナイフです。刃を鞘に収めれば、バッグに入れて安全に携帯できます。持ち手も木鞘で覆われていることから、滑りにくく安定感があります。初めて接ぎ木ナイフを買う人にもおすすめのナイフです。

3. 折込接ぎ木ナイフ

折りたたむタイプの接ぎ木ナイフで、小さくなりポケットに入るため持ち運びが簡単です。このタイプの接ぎ木ナイフは、日曜大工や学校工作など幅広い用途に使用できます。

接ぎ木ナイフの選び方

接ぎ木ナイフを選ぶときは、接ぎ木の種類とナイフの使用目的を考えることが大切です。接ぎ木には多くの種類があり、接ぎ木ナイフが作業する植物の台木の特性 (幹の太さや木の硬さなど) に適したものを選びます。また、接ぎ木ナイフの大きさや持ち運びができるかどうかなどの点もチェックします。

接ぎ木ナイフを購入する際に、特にチェックすべきポイントは以下の2つです。

1. 仕様

接ぎ木ナイフの大きさやハンドルの形、素材について確認します。ナイフの持ち手は使い心地がよく、手にフィットするものがおすすめです。持ち手部分が金属のままのものと、木鞘や竹、プラスチックなどのカバーがついているものがあります。

一般的には、木製のハンドルのナイフが見た目も美しく、耐久性が高いです。接ぎ木ナイフの大きさは、ナイフ全体が鞘に入っているか、刃先が折込式のものであるかによって変わってきます。

2. 刃の特徴

接ぎ木ナイフには、大きく分けて刃の形がまっすぐな直刃タイプと刃の先端が少し曲がっている曲刃の2種類があります。直刃のナイフは、あらゆるタイプの接ぎ木に使用可能です。

曲刃は、カーブしていることから刃が枝に滑りにくく逃げにくいため、接ぎ木以外にも、生け花やフラワーアレンジメント用の植物を切る際にも使用できます。また、左利きの人が快適に使える「左用」、右用、両刃などの種類があります。

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