バキュームカー

バキュームカーとは

バキュームカー

バキュームカー (英: Vacuum truck) とは、タンクや吸引機を装着した貨物自動車です。

特種用途自動車でもあり、公式的には吸上車と呼ばれます。また、バキュームカーは和製英語であり、衛生車、糞尿収集車、屎尿収集車、汲み取り車などの呼び方で呼ばれています。

通常バキュームカーとは、下水道が整備されていない地域で、屎尿の汲み取りや浄化槽清掃などを行う車両のことです。汲み取り式トイレや列車などのトイレの糞尿のほか、浄化槽に貯蓄されている汚泥などを収集します。汲み取り作業を行う際には地域内に中継タンクが設けられ、収集された糞尿などの最終処理は屎尿処理場で行われます。

バキュームカーの使用用途

バキュームカーの使用用途は、し尿汲み取りや浄化槽清掃です。車両の後方には「積載物品 糞尿」などと記載されています。汚物によってタンク部分の腐食の進行が速く、通常のトラックと比較して寿命が短いです。

公共下水道の整備が進んだため、都市部などではバキュームカーの使用場所が減りました。しかし工事現場、災害避難場所、イベント場所、簡易トイレなどでは、現在でも一定の需要があります。

バキュームカーは掃除機のようにタンク内を負圧にしてタンク内と大気との圧力の差を生じさせ、吸引ホースから屎尿をタンクへ吸い上げます。この仕組みによって開発当初は「真空車」と名付けられ、和製英語に変えたものが現在の名称です。

バキュームカーの原理

真空ポンプ (英: vacuum pump) の配管はタンク内の空気だけを吸引するようにタンクの上部に接続され、積載物を吸引するホースはタンクの下部に装着されています。タンク内の空気を真空ポンプが吸うとタンク内の圧力が下がり、吸引ホースのバルブを開けると液体がホースの先から吸われます。ホースは使用時に圧力が低下するため、外圧で潰れない構造が必要です。

液体はポンプを通過しないため、バルブやホースを通過すればポンプを傷めません。ポンプの逆転や配管の切り替えで空気をタンク内に入れると積載物を排出可能です。産業廃水や汚泥水などを積載した汚泥吸引車は、タンクの後部が大きく開いてホースを使わずに積載物を排出できます。

屎尿用のバキュームカーは悪臭問題を解決するために脱臭器が装備されています。タンクから排気される悪臭は脱臭装置を通過して、脱臭液や燃焼効果によって吸引中でも悪臭が漂いにくいです。

バキュームカーの構造

一般的なバキュームカーは、真空ポンプ、主マンホール、吸排切替コックレバー、脱臭機・消臭機で構成されています。

1. 真空ポンプ

真空ポンプはバキュームカーのタンク内を減圧します。真空は英語でバキューム (英: vacuum) です。真空状態を生み出すため、真空ポンプと呼ばれています。

2. 主マンホール

バキュームカーにはマンホールがタンク上部にあります。マンホールの取り付けに使用するパーツはタンクより高い場所に位置し、逆流が起こりません。主マンホールがあるため、タンク内部の清掃とメンテナンスが容易です。

3. 吸排切替コックレバー

回収後のバキュームカーはし尿を処理場で排出します。吸引排出レバーはタンクの後部にあり、排出に切り替えると真空ポンプが逆転し、タンク内の気圧が高くなってし尿が排出されます。

4. 消臭機・脱臭機

バキュームカーは吸引しながらタンク内の空気を外に排出するため、対策しない場合には周囲に悪臭を漂わせます。バキュームカーの多くは消臭器や脱臭機が必要です。

バキュームカーの消臭や脱臭の仕組みは3種類に分類可能です。燃焼式では悪臭を装置で燃焼させて臭いを除去し、空気をタンクの外に排出します。し尿に脱臭剤や脱臭液を混合して悪臭を取り除く方法もあります。脱臭剤や脱臭液の成分は、次亜塩素ナトリウムや水道水です。特殊な溶液を潤滑油に混合して甘い匂いに変える方法もあります。

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