プラスチック手袋

プラスチック手袋とはプラスチック手袋

プラスチック手袋は、PVC手袋とも言われる使い捨ての手袋の一種です。使い捨て手袋には、他には天然ゴムからできたラテックス手袋、合成(人工)ゴムで作られたニトリル手袋、そして、ポリ塩化ビニール手袋があります。

使い捨て手袋は、従来から医療・介護現場、半導体や電子デバイスなどの精密部品の製造現場、漁業や水産加工業などの水を取り扱う現場、工場などの油を扱う現場など、幅広い産業で使われてきました。

さらに、2020年からの新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延により、飲食店や食料品店など、従来は素手で接客対応をしてきたところでも、新型コロナウイルス感染予防のために、使い捨て手袋の使用を始めるところが増えて、需要が急速に拡大しました。。

それぞれの手袋で、外観、伸縮性、はめ心地、耐薬品性、耐熱性、着脱性、そして単価などそれぞれに違った特徴があります。

プラスチック手袋の使用用途

プラスチック手袋は、ゴムから作られるラテックス手袋や、ニトリル手袋ほどの伸縮性はありません。それでも、耐薬品性や作業性に優れていて、劣化しにくく単価も安いので、幅広い業界で使用されています。

特に、手袋を使用した後に、汚れた指先部分を持たずに、手首部分から裏返しにするように、手から素早く外せるのが利点です。このため、おしめの取り換えをする、介護や保育所、看護の現場などで好んで使われています。

他に、清掃業、美容院、製造加工業(金属加工業)、土木・建築業などで使われています。

プラスチック手袋の原理

プラスチックは石油由来の製品の一つです。石油精製工場では、原油を加熱してゆき、気化する温度の差を利用して、ガソリン、ナフサ、灯油、軽油、重油、アスファルトに分離します。

プラスチックはその中の、ナフサを熱処理してできるエチレンプロピレンベンゼンなどを基にして生産されます。さらにこれらの分子を結合させて、ポリエチレンポリプロピレンなどの高分子を作り、これがプラスチックの原料となります。プラスチックの原料に、さまざまな添加剤を加えて、柔らかい、割れにくい、色付き、などの特徴を持たせたプラスチックが誕生します。

プラスチック手袋は、プラスチックの中でも塩ビ(または塩化ビニール)というものを材料として作られます。塩ビはPVCという略号がつけられているので、プラスチック手袋をPVC手袋とも表記します。

塩ビは燃えにくくて丈夫という特性があります。塩ビを材料とした製品には、他に電気コードやフィルムなどがあります。

塩ビからの手袋の生産は、浸漬成形(ディッピング方式)と言われる生産方式を使います。
加熱されて液体状になった塩ビが入った原料浴槽に、手の形をした金型を浸し、それを引き上げて乾かすという工程を何回か繰り返します。この工程のスピードが速ければ薄手の手袋ができ、遅ければ厚手の手袋ができます。

浸漬成形で原型が出来上がった手袋を、洗浄工程で洗浄し、脱型工程で金型から外し、ピーティング工程で手首の返しの部分を加工します。

プラスチック手袋の主要生産国は中国です。コロナウイルス感染症の拡大の際には、プラスチック手袋の需要が急速に拡大しました。しかし、中国では同感染症の影響で工場の稼働率が低下して、中国からの輸入に頼っている日本では、マスクと同様にプラスチック手袋の品薄状態が続きました。

プラスチック手袋の選び方

プラスチック手袋は種類が豊富で、厚さ、長さ、手首の閉まり具合などから用途にあったものを選ぶことができます。手首の閉まり具合は、着脱のしやすさに関係してきます。

薄手の手袋は、モノを触ったときに手先の感覚が伝わりやすいので、細かい作業に向いています。厚手の手袋はひっぱりに強く、耐摩耗性、耐久性がより優れています。

また、手袋をはめた時のサラサラとした感触を出すために、トウモロコシからできたコンスターチ・パウダーを手袋の中にふりかけてある製品があります。少しでも粉の汚染を避けたい場合には、パウダーフリーの製品を選びます。

プラスチック手袋に使用するPVCは、製造過程でフタル酸エステル可逆剤を使用しています。2006年の食品衛生法の改定によって、フタル酸エステルを含んだ手袋は食品の調理・加工現場での使用を禁止されました。この法律改正に対応して、現在では同可逆剤を使用しないプラスチック手袋も製造されています。もし、食品の調理・加工現場でプラスチック手袋を使用するのならば、非フタル酸エステル可逆剤対応の手袋の中から選択することになります。

また、石油由来の製品なので、シンナーなどの有機溶剤には溶けてしまうという欠点があります。

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