静脈認証システム

静脈認証システムとは

静脈認証システムとは、血管のパターンで本人確認を行うシステムまたは装置です。

静脈は外部から観察できないため、型を使って模倣することが極めて難しい生体情報です。本装置は近赤外線という不可視光を照射し、指や手のひら内部に広がる血管分岐図を画像として取得します。取得した画像は暗号化されたテンプレートに変換され、端末内に格納された登録データと照合される仕組みです。非接触でも十分なコントラストを得られるため、衛生面での安心感も大きい点が特徴です。

最新機器の多くは手のひらを約10〜20 cm離してかざすだけで、0.5 秒以内に認証が終了します。静脈は体温や水分状態で微細に変化するため、指紋や顔での認証よりなりすまし耐性が高いです。高い安全性と利便性を両立する点が静脈認証の強みといえます。

静脈認証システムの使用用途

静脈認証システムは以下のような用途で使用されます。

1.入退室管理

オフィスや研究所など、高セキュリティ施設で活用されます。静脈センサーを設置し、IDカードや暗証番号の代わりに本人の手をかざして解錠します。カード紛失・貸与といったヒューマンエラーを防げる上に、通過時刻は自動でログ化され、異常行動のトレースが容易です。

2. 決済・券売

駅改札や店舗レジに静脈センサーを組み込むと、財布やスマホを取り出す手間なく非接触で決済が完了します。カード残高のチャージ忘れや電池切れを気にせずに済み、通行量の多い場所でも列の滞留を防止可能です。また、ICカード発行・紛失再発行のコストを減らせるため、無人化端末の保守回数も削減できます。

3. 医療・公共サービス

病院や自治体窓口では、保険証やIDカード提示に代えて静脈で本人確認を行う事例があります。手指に傷や湿気があっても読み取り精度が落ちにくく、高齢者や幼児が指紋を登録できない場合でも利用可能です。顔写真のような視覚情報が残らず、プライバシー保護の観点からも信頼を得ています。