振とう機

振とう機とは

振とう機

図1. 一般的な振とう機

振とう機とは、試験管やフラスコ、分液ロート等の容器に入れた試料を振とうさせて撹拌する機械のことです。

シェーカーとも呼ばれています。振とう機は、時間がかかる試料の分離や溶出、溶解、好気性微生物の培養等によく利用されます。

振とう形式は往復、旋回、8の字等があり、振とう方向にも水平方向か垂直方向かなど、機種によって様々なものがあります。また、機種によっては加熱や冷却機能がついており、振とう培養も可能です。

液体だけでなく、粉体のふるいとしてのふるい振とう機もあります。

振とう機の使用用途

振とう機は、一般的に生命科学や化学分野における実験において、長時間一定の振とうが必要な場合に使用されます。試験分野における主な用途は、各種溶出試験や試料の溶解、好気性微生物の培養等です。 

特に、環境省が定める土壌環境基準の溶出試験では、特定の条件下での振とう機による土壌中の重金属の溶出が要求されています。好気性微生物の培養では、微生物によって条件が異なります。振とう機の振とう幅や振とう速度を計算し、適切な酸素移動速度を整えることが必要です。

また、他には、野菜中のダイオキシンや残留農薬をヘキサンで溶出させる等、食品の残留農薬検査や産業廃棄物の溶出成分分析などの用途もあります。

振とう機の原理

温度調節可能な振とう機

図2. 温度調節可能な振とう機

振とう機は、振とう台の下部の台座内に動力部分が内蔵されています。動力部分は、モーターからベルトを介してプーリーに力を伝えることで、モーターの回転が振とう台の往復運動に変換されるという仕組みです。

温度調節機能がある機種の場合、台座下にヒーターや冷却装置がついています。また、恒温槽と振とう機が一体化している場合もあります。

機種によっては、振とう機の用途に応じて台座の大きさを替えることが可能です。また、それぞれの容器に合わせて使いやすくすることができるよう、台座の上に容器専用のプレートを置いてオプションで形状を変更することができるものもあります。

粉体のふるい振とう機は、電磁マグネットを利用して振動子に垂直方向の振動を発生させる仕組みです。スプリングで振れ幅を調節し、垂直方向に振とうしています。

振とう機の種類

様々な振とう機

図3. 様々な振とう機

振とう機のサイズには小型・中型・大型とバリエーションがあります。用途や容器の大きさ・形状に合わせて選択することが必要です。例えば、土壌分析の溶出試験に用いられるような振とう機には大型のものを用います。

試料が少量のインビトロ試験に用いられるような振とう機には、小型のものを選定することが適切です。特に、微生物や細胞の培養用途でインキュベーターに入れる場合には、小型の振とう機である必要があります。このタイプでは、約0~50℃の環境温度や約95%RHまでの環境湿度に対応できるよう設計されています。

卓上で使用できる小型の振とう機の大きさは、幅約200~300mm×奥行き約180~250mm×高さ約100~170mmの範囲に収まるものがほとんどです。許容負荷重量の上限は、殆どの機種で2kg程度です。振とう形式には、往復や旋回、シーソー、水平偏芯、8の字などがあり、方向も水平と垂直があります。機種によっては、手動で切り替えが可能な、複数の振とう方式が組み込まれています。

振とう速度は、凡そ20~200rpmの範囲で変更可能です。段階式か無段階式かは製品によって異なりますが、タイマー内蔵型の機種も多数あります。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/word/31
https://taitec.net/type/%E6%8C%AF%E3%81%A8%E3%81%86%E6%A9%9F/
https://san-web.co-sansyo.co.jp/SanOutWeb/detail/n_detail_45-1038.html
https://www.wakenyaku.co.jp/ctg/ls.php?i=318

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