平ベルトとは
平ベルトとは、断面が平らで長方形のベルトです。
複数の軸をつなぐために使用される柔軟なベルトで、V字型の断面を持つベルト (Vベルト) とは異なり、平らな断面を持つ点が特徴です。平ベルトは柔軟で伸縮性が高く、動力伝達の際にショックを吸収する能力があります。
これにより、機械部品間の突然の負荷変動や振動を和らげることが可能です。また、意図的に滑ることにより、過負荷時のダメージを最小限に抑えることができます。
ただし、Vベルトよりも力伝達能力が低い傾向があります。高いトルクや大きな負荷を扱う場合には、適切な設計が必要です。また、同様に高速回転の負荷には不向きです。
平ベルトの使用用途
平ベルトはさまざまな場面で使用される部品です。以下は平ベルトの使用用途です。
1. 産業機械
工場内の多くの機械や装置には、モーターからの動力伝達が必要です。平ベルトはそのような機械においてポンプやファン、コンプレッサーなどの動力伝達に使用されます。平ベルトの柔軟性が過負荷に対して効果的であり、ショック吸収能力も重宝されます。
2. 自動車
自動車エンジンから、発電機や冷却ファンへの動力伝達に平ベルトが使用されることも多いです。これにより、エンジンの回転運動がこれらの部品に伝えられます。また、一部の車種ではパワーステアリングや水中ポンプにも平ベルトが利用されることがあります。
3. 農業機械
農業機械では、草刈り機などの動力伝達に平ベルトが使用されることが多いです。これにより、エンジンから各種作業機器への動力が伝えられ、農作業が効率的に行うことが可能です。
4. 運送業
トラックやバンなどの荷台に積まれた貨物は、運行中の振動や動きによって荷台内で移動する可能性があります。平ベルトを使用して、貨物を荷台に固定して不要な移動を防ぐことが可能です。これにより、貨物が車内で転倒や傷つきを防ぐことができます。
平ベルトの原理
平ベルトは、複数の層で構成される柔軟なベルトです。表層の下に補強層を有する構造が一般的で、表層と補強層では材質が異なります。
1. 表層
表層は平ベルトの外側に位置する部分で、通常ゴムまたは合成材料で作られることが多いです。平ベルトに耐摩耗性や耐久性を提供し、外部からの影響や摩擦に対する保護を行います。
また、摩擦によって動力が伝達される場合もあるため、十分なグリップが必要です。
2. 補強層
表層の下には補強層があり、通常はポリエステルなどの合成繊維で製造されます。ベルトの強度と耐久性を向上させ、荷物の固定や動力伝達に必要な力を支えます。長方形の形状をしており、ベルト全体に均等な強度を与える層です。
補強層は通常2つまたは3つの層で構成され、ベルトの方向に対して異なる角度で配置されます。これにより、ベルトが伸縮性を持ちつつも一定の強度を維持することが可能です。
平ベルトの選び方
平ベルトを選ぶ際には、いくつかの重要な要因を考慮する必要があります。
1. 材質
平ベルトの材質は、使用環境や用途に合わせて選定する要素です。一般的に材質はゴムや合成材料が使用され、それぞれの材質には耐摩耗性や耐油性などの異なる特性があります。
荷物の固縛に使用する場合は耐久性が求められるため、安価で丈夫なナイロンなどを使用されます。
2. 引張強度
平ベルトの引張強度は、ベルトがどれだけの荷重や負荷に耐えられるかを示す重要な指標です。選ぶベルトの引張強度は、輸送する荷物や貨物の重さに合わせて選びます。引張強度が低い場合、ベルトが破損してしまう可能性があるため注意が必要です。
3. 幅
平ベルトの幅は、荷物や貨物を固定するための接触面積を示します。広い幅のベルトは荷物の負荷を広く分散させることが可能で、固定効果が高い場合多いです。荷物の大きさや形状に合わせて適切な幅を選ぶことが重要です。
4. 厚さ
ベルトの厚さは、その強度や耐久性に影響を与えます。一般的には厚いベルトほど強度が高くなりますが、同時に柔軟性も低くなる場合があります。運搬する荷物や貨物の性質に合わせて、適切な厚さを選ぶことが大切です。
参考文献
https://www.keyence.co.jp/
https://forbo.blob.core.windows.net/forbodocuments/840501/333_JP_01-19.pdf