除塵装置とは
除塵装置とは、水から藻類や小魚をはじめとする塵芥を取り除き、清浄な水を供給するための装置です。主に発電所や用水路などで利用されています。
除塵装置として使用するには、ただ塵芥を除去するだけでなく、その除去した塵芥を搬送したり一次的に貯留したり、水分を分離したりする機能まで求められます。そのため、それぞれの機能を備えたスクリーン、除塵機、搬送装置、貯留装置、制御機器といった複数の設備で構成されています。
除塵装置の使用用途
除塵装置は、塵芥が含まれていない清浄な水を供給するための装置です。代表的な導入事例としては、火力発電所や原子力発電所、水力発電所が挙げられます。
火力発電所や原子力発電所では、大量の冷却水が必要です。この冷却水として海水が利用されていますが、海水にはクラゲや海藻、小魚といった多種多様な塵芥が含まれており、そのままでは冷却水に使用できません。
また、水力発電所では大量の水で発電を行っております。取水口に土砂や落葉、倒木などの流木、人の捨てるごみといった塵芥が詰まると発電効率が低下し、機器の故障を引き起こす可能性があります。
そこで発電所の取水口に除塵装置を設置することで、これらの塵芥を除去しているのです。
除塵装置の原理
除塵装置はスクリーンの水中の塵芥を捕捉します。レーキ型とネット型は塵芥を掻き揚げて取り除き、渓流取水工型が余剰水で塵芥を下流に流します。
除塵機はレーキ型とネット型、渓流取水工型に大別されます。
レーキ型・ネット型の除塵機の種類は、1つの箇所に固定する定置式と、台車に積載して移動できるようにした移動式の2つです。移動式はコスト面で秀でていますが、移動の時間がかかるため、除塵能力においては定置式が勝ります。
除塵装置の種類
1. レーキ型
レーキの降下方式によって、回転式と往復式に分類することができます。回転式は、レーキがスクリーンの上流または下流側を降下した後、反対側を上昇する方式です。上昇の際に、スクリーンで捕捉した塵芥を掻き揚げているのです。
往復式では、レーキがスクリーン前面もしくは前方を降下した後、スクリーン面に沿って上昇します。往復式の駆動には、装置の規模が大きい場合はワイヤロープ、規模が小さい場合にはチェーンラックなどが用いられます。
2. ネット型
除塵機は、デュアルフロー式とストレートフロー式が主要なタイプです。ネットの洗浄および除塵を行う際、ストレートフロー式では下流側に塵芥が流出する危険がありますが、デュアルフロー式では流出しにくいといった違いがあります。
3. 渓流取水型
大規模な水力発電所では、レーキ型やネット型といった除塵機がよく使われていますが、小規模な水力発電所では、これらのタイプに加えて、渓流取水型除塵機などが利用されています。
渓流取水工型には自然取水方式、取水堰方式、水クッション方式、バースクリーン方式、越流水俯角面付着取水堰方式の方式があります。
特に、小水力発電では渓流取水工型バースクリーン方式が主要なタイプとして採用されています。この方式では、渓流河川に固定堰を設置し、堰広頂部に水平又は傾斜したスクリーンを取り付けることでスクリーンの隙間から水を取り込みます。
スクリーンの取り付け角度は重要で、水平から30度以下にすると、土砂や落ち葉などのゴミが詰まりやすくなります。一方、スクリーンの取り付け角度を45度から50度にすると、ゴミが詰まりにくく、大容量の水流にも対応しやすくなります。さらに、スクリーンのスリット幅を小さくすることで、ゴミの除去能力を高めることができます。
参考文献
http://www.kakoki.co.jp/products/m-019/index.html
https://www.ubemachinery.co.jp/totalservice/dustclean/products/rotary-bs.html
https://www.maff.go.jp/j/nousin/mizu/sutomane/pdf/jyojin.pdf