環境試験機

環境試験機とは環境試験機

環境試験器

環境試験機とは、試験対象の環境による変化などを測定するために様々な環境条件を疑似的に作り出す装置です。

各種機器に実装する部品や材料の信頼性を確認するために、環境試験がおこなわれています。そして、環境試験機は、環境試験の試験環境、部品や材料がさらされる可能性がある様々な環境を人工的に作り出す装置です。

環境試験では、この環境試験機で作り出した環境下での部品や材料の変化や耐性を測定しています。例えば、部品であれば所定の環境下にさらす前とさらした後で動作を確認し、環境に対する耐性に問題がないかを確認しています。

環境試験機の使用用途

環境試験機は、各種部品や材料の環境に対する耐性を調べるための装置であり、様々な分野で使用されています。環境試験は各種部品の使用時の耐性を調べる以外に、開発時などに各種部品の設計面や製造面での不具合を検出する目的でも使用されています。

また、品質保証にも環境試験の結果が必要です。さらに、各種部品の使用時の環境耐性の結果は、顧客が購入時に製品を選択する目安にもなっています。

各種機器や部品には、使用される環境や製品の特性に応じて守るべき各種規定があり、国内規格はJIS (Japanese Industrial Standards:日本産業規格) です。グローバル規格はIEC (International Electrotechnical Commission:国際電気標準会議) 規格です。これらの規格では、各種機器および使用条件毎に定める規定があり、規定の中には環境試験も含まれているため、環境試験機は規格の合否判断にも使用されます。

環境試験機の原理

環境試験機には、温度や湿度の条件を変える温湿度試験機や水を吹きかけたりする耐水試験機などがあります。ここでは、主な環境試験機を解説します。

1. 温湿度試験機

温湿度試験機は、試験対象である各種機器や部品、材料を温湿度試験機の中に入れて試験を行います。そして、製品の仕様や規格で定められた上限や下限の温度や湿度に装置を設定し、一定周期で上限と下限の温度と湿度の条件に切り替えて試験します。

試験前に機器や部品の動作を確認して試験終了後に再度確認し、試験前と同様もしくは所定の範囲内の動作確認ができれば試験は終了です。

2. 熱衝撃試験機

熱衝撃試験機での試験は、温度設定を低温と高温を短時間で切り替えて機器や部品の変化を見る試験です。環境温度が急激に変化すると、部品や機器の個々の構成物に熱膨張と熱収縮が生じます。接合部や表面にクラックなどの不具合が生じ、これは個々の構成物の熱膨張係数の違いによるものです。この不具合の度合で、試験の合否が決まります。

3. 耐水試験機

耐水試験機は、試験対象である電子部品や小型電子製品などが風雨や水しぶきを受けた場合の耐水性および防水性を評価する試験機です。試験対象に散水や噴水および浸水をおこなって試験をします。

4. 促進耐候性試験機

促進耐候性試験機は、太陽光や降雨、温度と湿度などの屋内外の条件を疑似的に再現して試験対象の劣化を促進する試験機です。人工光源を使って屋内での試験をおこない、短期間で結果を出します。

5. 腐食試験機

腐食試験機は、ガスや薬品、酸性雨および塩水などの試験対象への影響を調べる試験機です。酢酸に塩化銅を加えた塩化ナトリウム水溶液を用い、腐食の度合いを測定する「キャス試験機」が有名です。

硫化水素 (H2S) や二酸化硫黄 (SO2) 、二酸化窒素 (NO2) あるいは塩素 (Cl2) などの腐食性ガスを用い、腐食を測定する「ガス腐食試験機」もよく使用されます。

環境試験機のその他情報

その他の環境試験機

環境試験機には、温度や湿度などをコントロールせずに、物性を評価する試験機もあります。

1. 振動試験機
振動試験機は、機器や部品の輸送時の振動や工場などの比較的振動が発生しやすい場所での振動を想定し、これを上回る振動条件を機器や部品に与えます。試験の前後で動作確認を行い、同様の結果が得られれば試験は終了です。

2. 落下試験機
落下試験機は試験対象を落下させた衝撃や影響を調べるため、決められた条件を繰り返し維持しながら試験品を自然落下させる装置です。重量がある貨物や包装資材の耐衝撃性を確認する際に用いられます。

参考文献
https://www.oeg.co.jp/Rel/environment.html
https://how.jp/column/tech-explanations/kankyousiken

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