フローティングコネクタ

フローティングコネクタとは

フローティングコネクタとは、電子基板同士を接続する際に用いるコネクタ部品です。

基板間を電気的に接続する端子と、絶縁体よりなり端子を保持するハウジングで構成されています。端子はコンタクトと呼ばれる金属板よりなる部材で作られています。

フローティングコネクタは、基板間で浮いたような状態となっており、可動なのが特徴です。浮いた状態で可動であるため、基板間での相対的に生じるわずかな接続誤差を調整する機構を備えています。

フローティングコネクタの使用用途

フローティングコネクタを用いれば、基板同士の取り付け位置誤差を許容できるようになります。そのため、製品を大量生産する際にロボットで基板を接続する場合など、ほぼ必ずといっていいほどフローティングコネクタが使用されます。

基板同士の取り付け位置誤差を許容できるようになるため、基板接続の自由度が上がるのも特徴です。これにより、回路設計やレイアウトの自由度が大きく向上します。

さらには、フローティングコネクタは基板間で可動なため、接続後の基板間の応力を逃がすことも可能です。そのため、デバイス上のストレス低減が必要な場面でも役立ちます。この用途としては、振動に対する耐久性が求められる車載用機材や産業機械用の基板間接続などが挙げられます。

フローティングコネクタの原理

フローティングコネクタは、基板間を電気的に接続する端子と、端子を保持するハウジングよりなります。端子はコンタクトと呼ばれる金属板の部材で作られています。フローティングコネクタのコンタクトは、一端が電気的接続をする端子部分となっており、もう一端がハウジング内への固定部です。

フローティングコネクタでは、固定部に特徴があります。例えば、ハウジングが二重構造となっており、内側のハウジング部と外側のハウジング部内にコンタクトの固定部が板バネ状で配されています。つまり、二重構造のハウジング内で板バネ部分が伸縮して、ハウジングの板バネ部分の伸縮方向への移動が可能です。

このようなフローティングコネクタを基板間に配すると、コネクタは板バネの伸縮により移動できるため、基板間で浮いているように見えます。また、この移動が可能であることから、基板同士の取り付け位置誤差を含めた形での基板同士の接続が可能です。

フローティングコネクタのその他の情報

1. リジッドコネクタとの併用

フローティングコネクトとは異なり、基板に固定されて動かないコネクタがリジットコネクタです。フローティングコネクタは、このリジッドコネクタと組み合わせても使用可能です。
例えば、複数の基板同士を接続する場合や双方の基板がベースとなる基板に、リジッドに設置されていて2次元的な自由度がない場合にも使用されています。

2. フローティングコネクタの注意点

基板同士の取り付け位置誤差を含めた形で、基板同士の接続を可能するフローティングコネクタにも、注意すべき点はあります。

フローティングコネクタは、振動への耐久性が求められる車載用機器や産業用機械などに好適です。しかし、振動や衝撃を長時間繰り返し受けると、可動を可能とするバネとして機能するコンタクトが疲労破壊を引き起こす場合があります。

コネクタのサイズは技術の進歩とともに年々小型化しており、現在では隣り合う基板間が0.5mmピッチほどの高密度で複数のコネクタが並んでいる状態です。このようにピッチ0.5mmなどの狭ピッチになると、コンタクトとして髪の毛の太さ程度のものが必要です。

当然のことながら、元々の強度は低くなります。この状態で、長時間にわたって振動や衝撃を繰り返し受けると、コンタクトに疲労破壊が起きる可能性があります。ただし、基板間をスタッドでねじ固定するなどすれば、この状態を回避可能です。

また、フローティングコネクタはリジッドコネクタよりも部品点数が多くなること、組み立て工数が多くなることからコストが高くなる点も気をつけるべき点となります。

参考文献

https://www.hirose.com/product/jp/pr/technology/interview_03/
https://www.kyocera.co.jp/prdct/electro/product/connector/product-topics/floating.html

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