超音波ホモジナイザ

超音波ホモジナイザとは超音波ホモジナイザ

超音波ホモジナイザとは、粒子を含む液体に超音波を照射することで、粒子と液体を均質化 (ホモジナイズ) する装置です。

粒子は固体や液体中液滴の場合があります。超音波により液体中に非常に小さな (数100〜数10マイクロメートル) 泡が発生し、この泡が破裂する際に溶液中に乱流が起こります。

この乱流が粒子に衝撃を与え、大きな粒子を破砕・微粒子化し、分散することで均質化します。通常の機械的な攪拌では混合しにくい場合でも、より安定に均質化した懸濁液や乳化した液体を調製することが可能です。

超音波ホモジナイザの使用用途

超音波ホモジナイザは、非常に安定した均質液 (懸濁液や乳濁液) を生成できることから様々な現場で利用されています。

1. 食品・乳製品の製造

食品・乳製品加工業などの製造現場では、安定した品質を得るために分散や乳濁液生成の目的で用いられています。

2. 化粧品の製造

化粧品の製造においても同様に、非常に安定した乳化を行うことにより、高品質なクリームやローションなどを製造できます。

3. その他

セラミックス、顔料、鉱物などの分散・懸濁液 (サスペンジョン) の安定性や粘度を調整することにも効果的です。製造業だけではなく、生物学・微生物学などの研究・開発現場でも細胞組織・ウィルスの破砕や、DNAやタンパク質の抽出の前処理に超音波ホモジナイザは利用されています。また、材料分野においての研究でも懸濁・乳化に幅広く用いられています。

超音波ホモジナイザの原理

1. 超音波の発生

超音波ホモジナイザを構成する重要な部品は発振器振動子です。この発振器から電気信号が出力され、その信号を受けてこの振動子の先端にあるチップ状のもの (チップまたはホーンと呼ばれます) が1秒間におよそ2万回の縦振動を行います。

チップが振動を液体に伝えると、振動が超音波として液体中を伝わっていきます。

2. キャビテーション

音波は縦波であるため、液体中に密度が高い場所と低い場所を繰り返し生成しながら液体中を進みます。極端に密度が低くなった場所は真空の泡となります。このような泡を生じる現象が、キャビテーション (空洞化現象) です。

3. 破砕・分散・均質化

泡が破裂する瞬間に強力な乱流が発生し、凝集していた粒子が引きちぎられたり、ぶつかり合って砕けたりすることで、液体中の粒子が微粒子化し、均質になっていきます。このように、キャビテーションを介して微細で強力な乱流を繰り返し起こすことで、均質化が進んでいく仕組みです。

超音波ホモジナイザの特徴

超音波ホモジナイザの特徴と使用にあたって注意すべき点は以下の通りです。

1. 異物混入リスクが比較的低い

従来の機械的なホモジナイザの中には、物理的破砕を行うためにビーズや刃、あるいは、すりつぶしをする面など、試料液との接触面が多いものがあります。また、物理的に粒子に接触して破砕を行うため、接触部が傷む可能性が高いです。

これらに比較すると、超音波ホモジナイザは比較的接触面が小さく、物理的接触で傷むこともないため、破片などの異物が液体中に混入 (コンタミネーション) する可能性が低くなっています。

2. 保全・管理コストが低い

接触部で物理的な力を与えて破砕するわけではないので、摩擦による装置の劣化も少なく、装置の保全・管理にかかるコストを抑えることができます。

3. 粒度分布を揃える意図に向いている

均質化の最終段階では、ほぼ粒子同士がぶつかることにより微粒子化が進行します。そのため、粒子は球体に近い形状に整うことが多く、出来上がりは整った粒子が分散した状態です。すなわち、粒度分布を揃える意図により向いていると言えます。

4. 成分に過度の破壊を起こすことがある

超音波は高エネルギーであるため、液体中の成分に対して過度の破壊を引き起こす可能性があります。例えば、生物学的なサンプルの場合には細胞が崩壊します。

ただし、通常はむしろ細胞の破砕に超音波ホモジナイザが用いられている状況であり、使い分けが重要です。細胞を取り出すときにはタンパク分解酵素で結合組織を分解して取り出します。

5. 熱が発生する

使用中に熱が発生するため、生物試料ではタンパク質の変性のもとになります。そのため、処理時間と照射間隔を最適化し、冷却しながら処理する必要があります。

参考文献
https://www.yamato-net.co.jp/product/show/luh150/
https://www.cho-onpa.co.jp/product/another/homogenizer.html

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