ガウジング棒

ガウジング棒とはガウジング棒

ガウジング棒とは、溶接機を用いて、ガウジングを行うためのカーボン製の棒のことです。

ここでのガウジングとは、溶接の際に発生する欠陥部分を除去することを目的としています。カーボン製のガウジング棒と金属板の間にアークを発生させて、欠陥部分を中心とした金属を溶融すると同時に、溶融した金属を機械的に除去して、金属板に溝を付けています。

なお、アークとは電気の放電現象を利用したアーク溶接のことです。母材とガウジング棒の間に発生させたアークの高熱で、母材やガウジング棒を溶融させる溶接方法を指します。

ガウジング棒の使用用途

ガウジング棒は、アークエア法に用いられています。アークエア法とは、金属の母材をアークで溶かして出来た溶融金属を高速空気噴流で吹き飛ばして溝を掘る手法です。

主な用途として、鉄骨や橋梁、造船、製缶などが挙げられます。溶接裏ハツリや開先取り、あるいは溶接部の欠陥ハツリなどに用いる場合と、鋳物の押湯や湯口部等の切断、巣のハツリなどに用いる場合があります。

その他の用途は、軟鋼板のU型開先や切断、穴あけ、鋳鉄、鋳鋼補修溶接の加工などです。

ガウジング棒の原理

ガウジング棒を用いたエアアークガウジングは、トーチにガウジング棒を挟み、この電極と母材との間に直流もしくは交流のアークを発生させて、局部的に溶融させながらエアーで吹き飛ばし溝を掘っています。

また、エアーを使わず、軟鋼芯線に特殊なフラックスを塗布した溶接棒と交流もしくは直流溶接機を使って加工を行う方法のあります。ステンレス鋳鉄や軟鋼、鋳鋼、各種合金鋼の開先加工、ミゾ堀りやクラック巣などの欠陥削除、穴掘りなどを、電流と溶接棒と母材との角度の調整によって簡単に行うことが可能です。

なお、溶接棒の母材に対する角度は、10~30°が適しています。これより角度が小さいと、作業性は良好になりますが、溶接棒の消耗激しくなってしまいます。反対に、これより角度が大きいと、深いミゾ掘り作業は可能ですが、溶金の流れが悪くなってしまいます。

ガウジング棒の種類

1. 直流用ガウジング棒

直流ガウジング棒は、鋼板の開先、切断、孔あけ、キズ取り等、多方面に使用が可能です。

2. 交流ガウジング棒

交流ガウジング棒は、特殊高級原料を配合して交流特有のアーク難易性が完全に解決されたものです。卓越したアーク安全性は、作業能率の向上や経済性を高めています。

3. 直流中空ガウジング棒

直流中空ガウジング棒は、ガウジングの跡を平滑に掘るのに最適です。通常のガウジング棒だとガウジングの堀の深さが尖って掘れますが、中空だと電流が先端に集まらないので、底浅でU字形状に掘りやすいのが特徴です。

ガウジング棒のその他情報

ガウジングの方法

ガウジング棒を用いたガウジングの方法は、以下の2種類があります。

1.エアカーボンアークガウジング法
エアカーボンアークガウジング法とは、ガウジング棒と母材の間にアークを発生させることで、母材を溶融させて欠陥部を除去する方法です。母材を溶融する際に、ガウジング棒に沿って空気を噴射し溶融した金属を除去させます。

エアカーボンアークガウジング法は従来の方法に比べて作業効率が良く、ステンレスにも使用できます。また、母材への影響が少ないこともメリットです。

2.プラズマアークガウジング法
プラズマアークガウジング法とは、プラズマによる切断と移行式のプラズマアークを使用した方法です。高密度・高温のエネルギーであるプラズマアークはガウジング後の変形が少なく、どの金属にも施工できます。

また、作業の自動化が可能で、エアカーボンアークガウジング法のように騒音や粉塵が発生しにくいのがメリットです。そのため、ガウジングの際は、プラズマアークガウジング法を用いることが多いです。

参考文献
http://www.sweco.co.jp/business/misc.html
https://www.monotaro.com/g/00404074/
https://sekokan-navi.jp/
https://weld-blog.com/back-goujing/

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