真空状態を生み出すために様々な真空ポンプが用いられています。この記事では真空ポンプに用いるオイルの選び方について記載します。
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真空ポンプとは
真空ポンプ用オイルと言っても、まず全ての真空ポンプにオイルが用いられているわけではありません。真空ポンプはドライタイプとウェットタイプの2つに大別され、ウェット式のみオイルを必要とします。
用途として、一概には言えませんが、ウェットタイプはメンテナンスこそ手間ですが、比較的安価のものが多く、使用用途が限定的でなければウェットタイプが用いられます。
ドライタイプはポンプ内に油や液体を含まない構造になっており、それらの揮発や漏洩のリスクを排除し、メンテナンスに手がかからないのが特徴です。
主に食品、化粧品の包装や半導体関連で使用されます。
真空ポンプ用オイルの種類
次に真空ポンプ用オイルの種類ですが、ウェットタイプの中にも油回転ポンプと油拡散ポンプの2種に分けられ、それぞれ専用のオイルを必要とします。
油回転ポンプ
オイルはVG46,VG68,VG100というような表記が分けられており、これは粘度を示しています。油回転ポンプは汎用品のため、様々なメーカーが油回転用ポンプを取り扱いしています。
例えばVG46であれば、40℃における動粘度の中心値が46cStであることを意味しています(動粘度の範囲は41.4以上 50.6以下)。
油拡散ポンプ
油回転ポンプのみでは目的の真空度まで到達できない時に油拡散ポンプが併用して森いられます。油拡散ポンプに充填する油は通常の油回転ポンプ用のオイルではなく、専用の油拡散ポンプ用オイルがあります。
真空ポンプ用オイルの選び方
油回転ポンプ
ポンプの取扱説明書のメンテナンス関連のページに使用可能なオイルの説明書きがあります。VG46と表記されていれば、オイルはVG46の真空オイル用ポンプを充填してください。
一般に小型ポンプは低粘度のVG46もしくはVG68、大型ポンプはVG100が指定されています。
油拡散ポンプ
油拡散ポンプは特殊な装置であり、油拡散ポンプ用オイルを取り扱いしているメーカーはかなり少ないです。取り扱い説明書に従い、専用の油拡散ポンプを充填してください。
その他真空ポンプ用オイルの特徴
他社との差別化のため、下記のような特徴をうたった油回転用ポンプもあります。
- 目標の真空度に到達するまでのスピード
- 長寿命(交換頻度が長い)
- シリコーンオイル(耐薬品性)
- フッ素オイル(高耐熱性)
選び方の注意点
メーカーの保証などがある場合、メーカー指定オイル以外を使用し、万が一トラブルになった場合、保証対象外となるケースもあります。
オイルの知識がない場合は基本的には取扱説明書通りにオイルを選定することをおすすめします。
ただし、メーカーが指定している専用オイルは高額なことが多いです。
真空ポンプ用オイルの選び方 まとめ
最後に真空ポンプ用オイルの選び方を簡略化しました。
真空ポンプ用オイルの選定にお役立てください。
油回転ポンプ
→ 取扱説明書に専用オイルが指定されていれば、専用オイルを使用
→ 専用オイルの指定がなく、粘度表記(VG46など)のみ記載されている場合、
対応する粘度が記載された真空ポンプを使用
油拡散ポンプ → 取扱説明書通りのオイルを使用