プール育苗

プール育苗とは

プール育苗

プール育苗とは

プール育苗とは、水稲栽培における育苗方法の1つです。

基本的に、ビニールハウスの中に簡易プールを作って育苗します。プール育苗は、育苗過程における作業を簡略化できるのが最大の特徴です。

プール育苗の使用用途

プール育苗は、田植え前の苗を安定して生育させるために行う作業です。慣行の灌水のように散水ノズルを使う必要がないので、灌水作業や温度管理などの労力を軽減したい農家や減農薬栽培などで広く普及しています。

最近では、露地プール育苗という野外で実施するケースも見られます。

プール育苗の特徴

長所

1. 作業が軽減される
プール育苗の水やりは、プール内の水が減ってきたら追加します。そのため、散水ノズルでの水やりに比べ、灌水作業が格段に省力化できます。

また、追肥作業はプール内に肥料溶液を流し込むだけなので、肉体への負担を軽減できるのも長所です。

2. 病気に強い苗が作れる
プール苗で育てると病原菌の生育が抑制されるため、田植え後もカビや細菌などによる病気に強くなるのが長所です。

3. 根張りの良い苗が作れる
プール育苗で育てた苗と平床育苗とを比べると、根張りの良さや草丈が長くなるのが特徴です。

4. 田植えの効率が上がる
プール育苗は灌水ムラを起こしにくいため苗サイズが均一となり、効率よく田植えができます。

5. コスト削減につながる
プール育苗は床土が乾きにくく、畑育苗に比べて床土量が半分ほどまで減らせるため、コスト削減にもつながります。

短所

1. 平らに整地するのが面倒
プール育苗では整地作業は大切なポイントです。しかし、新規就農者など不慣れたうちは、床を均平にする作業が面倒と感じるかもしれません。

高低差をできるだけ少なくすることで、苗の過乾燥や水没から守れるので、土を固める丁寧に行うのがポイントです。

2. 水漏れに注意
プール育苗では、水が漏れないようにシートを張る作業が必要です。

3. 温度管理が大事
ハウスの風通しを良くしておかないと夜間も水で保温されるため、苗丈が伸びすぎたり、弱い苗になったりする可能性があります。

プール育苗の使い方

一般的なプール育苗は、ビニールハウスや温室を活用します。プール育苗を実施する流れは次の通りです。

1. 置き床を水平に整地する

均一に水を張れるよう、置き床から石やくぼみなどをなくして水平に整地します。水平確認ができる商品があると便利です。

2. 枠作りをする

水を溜める枠作りをします。プール育苗には5~7cm程度の水深が必要なので、10cm程度の幅の木の板、または市販のプラスチック製枠を用いて設置します。排水するために、水尻の設置も必要です。

3. 遮水シートを張る

水をしっかり溜めるためには、枠よりも50~80cmほど大きいサイズの遮水シートが必要です。もし穴が開いていたら、補修テープで補修しておきます。

プール育苗用シートや、やや厚みがあり丈夫なブルーシート系のプール育苗専用シートもあります。

プール育苗のその他情報

プール育苗の注意点

1. 均平化のために工夫する
プールの置き床の高低差を少なくするには、水平を音で確認できる商品を活用するか、レーザー水平器を活用すると失敗しません。

また、くぼみに土を多めに盛り、タンパーで上から叩いて突き固めておくと良いです。目安として、足跡がつかない程度の固さに鎮圧しておくと水平が保たれやすくなります。

2. ビニールシートを破かないように工夫する
ビニールシートは大変薄いため、道具や靴などで引っ掛けると破ける可能性があります。プール内に育苗箱を敷き詰める際は、発泡スチロールなどに乗りながら移動すると良いでしょう。

3. 病害の発生を抑制する
プール育苗は病害発生に強いものの、初期段階でしっかりと観察し、全滅を防ぐことが重要です。

4. 運搬作業のために準備する
苗箱は水を多く含んでいるため、運搬予定の数日前にプール内の水を抜き、苗箱の重量を軽くしておきます。さらに、苗箱を斜めにしておくと水が切れるので、運搬作業が楽になります。

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