農業用ビニールとは
農業用ビニールとは、名前の通り農業用に使われるビニールで、ビニールハウスやトンネルに使用するものです。
農業用ビニールは、主にポリ塩化ビニール (PVC) や塩化ビニール樹脂を主原料としたフィルムが使われています。保温・保湿・防塵など様々な特徴の性能を持つものなどがあり、栽培する作物や気候の特徴に合わせて適したものを選ぶことで、作業効率の向上や収穫量の向上、病害虫の抑制などの効果が得られます。
農業用ビニールの使用用途
農業用ビニールは、被覆資材として使用されます。使用される箇所は、ビニールハウスやトンネルなどです。
主に塩ビと呼ばれるポリ塩化ビニルを主原料としており、比較的安価で手に入りやすい材料です。様々な加工や薬剤添付、着色などを行い、付加効果のある製品が開発されており、中には高価なものもあります。
一般的に、透明なものと梨地加工されたものがあり、透明なものはよく光を通し昇熱効果が高いことが特徴です。また、梨地加工されたものは、光を散乱させ透過を調節し、ハウス内への光ムラが軽減される効果があります。
農業用ビニールの特徴
長所
農業用ビニールの主な特徴は、保温性に優れていることです。農業用ビニールの主原料であるポリ塩化ビニルは合成樹脂の一種で、高い保温効果を持っています。
農業用ビニールの保温性を利用することで、ビニールハウスやトンネル栽培では外気温などの環境に左右されにくく、安定して栽培を行うことができます。この特徴から、寒さに弱い作物や通年を通し需要の高い作物を栽培するにあたり、外部環境から作物を守る働きを担います。
短所
ポリ塩化ビニルを用いた農業用ビニールは耐候性が弱く、雨や風、紫外線などの天候や気温の変化により劣化しやすいことが短所です。劣化した農業用ビニールは、強風など強い刺激にさらされると大規模に破損することが多くあります。
栽培している作物だけでなく、隣接するハウスやトンネルに二次被害をもたらす可能性があるため、小規模でも破れた場合は迅速な対応が必要です。
農業用ビニールの種類
農業用ビニールにはポリ塩化ビニル製のものだけでなく、より耐候性に優れた農業用ポリオレフィン系フィルムや、フッ素樹脂製のものもあります。また、様々な加工が施されたものも存在します。
1. 一般農ビ
光をよく通す透明と、光を散乱させ光ムラを抑制し、ベタつきが少なく作業性の良い梨地があります。
2. 長期展張向き農ビ
一般農ビに比べ厚みがあり、また防塵性の強い加工を施すことにより耐久年数を伸ばしたものです。
3. 保温力強化農ビ
赤外線吸収材を添加することにより、一般のものより保温効果が強いです。
4. 霧モヤ抑制農ビ
湿度の高い環境下でハウス栽培を行う際に、ハウス内での霧やモヤの発生を抑制する効果があります。
5. 防塵農ビ
外側に加工が施されており、塵の付着を防ぐことが出来るため耐候性に優れます。
6. 着色農ビ
ビニールに着色し、紫外線吸収剤を加えることで透過する光の質をコントロールすることができます。
7. 作物別特殊農ビ
ナスやイチゴなど、特定の作物の栽培を対象に用います。
農業用ビニールの選び方
農業用ビニールは材質、特性によりそれぞれ必要なコストが異なります。そのため、機能面だけでなく、価格で比較することも重要です。耐候性によって張替えの頻度が変わってくるので、ランニングコストも考えながら運用スタイルに合った農業用ビニールを選択する必要があります。
また、材質により光線透過率や持続性、分光特性も異なります。予算に余裕がある場合は、栽培する作物や地域の気候に合わせて選ぶと、より良い状態での栽培が可能になります。
農業用ビニールの使い方
農業用ビニールは、ビニールハウスやトンネルを作る際に、支柱に被せる被覆資材として使用します。どちらの場合も日当たりが良く、あまり強い風の吹かない場所に支柱等を設置し、ビニペットレールやパッカーで農業用ビニールを固定します。
たるみやゆるみがあると、光の透過量がまばらになったり、支柱からビニールが外れてしまったりする恐れがあるため、注意が必要です。