塩ビフランジとは
フランジとは、配管継手の一種であり、配管同士の接続箇所や配管の末端閉鎖などに使われ、そのつば状の形状が特徴ですが、特にその中でも塩ビフランジとは、塩化ビニール(PVC:ポリ塩化ビニル、塩ビ)素材で形成されたフランジのことを言います。
ポリ塩化ビニル(PVC)は、ポリプロピレン(PP)ポリスチレン(PS)ポリエチレン(PE)と並ぶ安価で需要の多い五大汎用樹脂の一つであり、材料特性面ではその優れた耐食性と硬質性が特徴であり、配管用に適したフランジとして非常に多く用いられています。
塩ビフランジの使用用途
塩ビフランジならではの使用用途として、その耐食性に優れた素材ゆえに、酸性またはアルカリ性の薬品や海水で腐食することがないため、化学薬品工場や半導体関連のプラントの配管用フランジ、海水の配管フランジなどに用いられています。
またポリ塩化ビニル(PVC)は硬質性と軟質性のものが存在し、特に硬質性の塩ビはフランジ用途や配管材料などの建築資材向けに多く用いられています。
さらに塩化ビニル樹脂溶剤系接着剤等による接着性は良好であり、つば状の形状同士を接着材で接合するTSフランジ用途にも適しています。
塩ビフランジの原理
ポリ塩化ビニル(PVC)は塩化ビニルモノマー(CH2=CHCl)の付加重合により合成され、その添加する可塑剤の量により硬質にも軟質にもなり得ます。ちなみに塩ビフランジの場合の ポリ塩化ビニル(PVC)の平均重合度は600~1000程度のものが用いられています。
材料の硬質性以外にもフランジ強度向上の手段として、樹脂加工の一つである一体射出成形が良く用いられています。一体射出成形は、溶融した樹脂原料を金型に流し込んで固める成形方法であり、この形成方法で作成された塩ビフランジは、一体型ゆえに溶接形成起因でのクラック等が入りにくく、強度面で非常に堅牢なフランジとなります。
また前述の接着型のTSフランジ以外にも、内部にOリングが入る溝加工を施しシール効果を向上させたものや、食品機械向けに、優れた密閉度や樹脂製フランジならではの軽量性や比較的容易な特殊加工性を生かした特注の塩ビフランジも制作されています。
一方でポリ塩化ビニル(PVC)の短所としては、耐熱温度が60~80℃、融点が85~210℃程度と、比較的耐熱性に乏しく、また特に低温環境下ではその耐衝撃性が大きく低下するため、フランジとして使用される環境温度には、十分留意する必要があります。