塩ビ管

塩ビ管とは

塩ビ管

塩ビ管とは塩化ビニル樹脂でつくられた配管資材の1つで、正確には硬質ポリ塩化ビニル管と呼ばれます。

ポリ塩化ビニルは (図1) は耐水性や耐候性、経済性、耐腐食性、難燃性などに優れています。金属管と比較し軽量で施工しやすい点も急速に普及した要因の1つです。

ただし有機溶媒に弱いことや耐熱性が低いなどのデメリットもあるため注意が必要です。塩ビ管は厚さに応じて大まかにVP管とVU管に分けられます。

VP管は管の厚みは肉厚であり、屋内外の給水管や通気管に用いられます。一方でVU管はVP管よりも薄肉であり、一般住宅の排水系統や通気用に使用されます。

ポリ塩化ビニルの構造

図1. ポリ塩化ビニルの構造

塩ビ管の使用用途

塩ビ管の主な用途は水道管や下水道管、通気管、保護管などが挙げられます。塩ビ管は耐候性や耐腐食性など長期間の使用に耐え得る特性を兼ね備え、施工性にも優れることからインフラ設備に多用されています。

衝撃性に強いHIVP管や熱に強いHT管のように種類も豊富なため、用途に応じて使い分ける必要があります。最近ではDIYの資材としても使われています。

こうした影響もあり以前まではグレー系の塩ビ管が主流でしたが、今ではホームセンター等でカラフルな塩ビ管を購入できます。

塩ビ管の原理

塩ビ管は、大きく以下の4種類に分けられ用途に応じて使い分けがされています。

1. VP管

厚肉の塩ビ管で耐圧力は1.0MPa、耐熱温度は60℃程度です。厚みがあり高圧にも耐え得ることから屋内外の排水管や給水管に使用されています。メリットとしては、平滑性が高く摩擦抵抗が小さいため内側に汚れ等が吸着しにくくなっています。

そのため、長期間にわたり使用することができメンテナンス回数を減らすことができます。

一方、直射日光には弱いため冷暗所での使用が求められます。

2. VU管

VP管と比較するとやや薄肉なため低圧力環境下で使用されます。耐圧力は0.8MPa、耐熱温度は60℃程度です。

軽量性に優れますが高圧管路用には使用できないため、一般家庭の排水設備などに使われています。

3. HIVP管 (耐衝撃性硬質ポリ塩化ビニル管) 

耐衝撃性を有しており柔軟性がある塩ビ管で、耐圧力は1.0MPa、耐熱温度は50℃程度です。

寒冷地や外部衝撃が加わる可能性のある環境下で使用され、地震にも強い耐性を示します。

ただし、単価が高くなるため使用用途が限られます。

4. HT管 (耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管)

高い耐熱性が特徴で90℃近くまで使用可能なため給湯管に利用されます。

ポリ塩化ビニルのその他情報

ポリ塩化ビニルとその他の汎用プラスチックの相違点

代表的な汎用プラスチックの構造

図2. 代表的な汎用プラスチックの構造

ポリ塩化ビニル以外の汎用プラスチックとして、ポリスチレンポリエチレンポリプロピレンなどが挙げられます (図2) 。

これらの化合物の中で、ポリ塩化ビニルとポリスチレンは非結晶性であり、一方でポリエチレンとポリプロピレンは結晶性を有します。

さらに、これらの4化合物のうち塩ビ管の素材であるポリ塩化ビニルだけが、その構造に塩素原子を含みます。このように、ポリ塩化ビニルはその他の汎用プラスチックとは大きく異なる化学的な特徴があり、その用途も独特です。

参考文献
https://www.eslontimes.com/system/category/93/
htmlhttps://www.kubota-chemix.co.jp/blog/2016/07/24/37
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms/54/2/54_2_221/_pdf/-char/ja

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