超音波発生装置

超音波発生装置とは

超音波発生装置

超音波発生装置とは、人の耳に聞こえない、概ね周波数が2okHz以上の音を発生する装置のことです。

超音波発生装置は装置単体としては超音波発生源であり、これにつながったプローブの先端や水槽の壁等から、任意の周波数の振動を所定の出力で発生させるような仕組みになっています。

超音波が空気中を伝わる仕組みは、物理的には可聴域の音と同じです。しかし、超音波は指向性が高く、高分解能の探知に利用できます。さらに超音波は、動力源や洗浄装置にも応用が可能です。したがって、超音波発生装置は様々な応用機器に組み込まれる形で利用されています。

超音波発生装置の使用用途

超音波発生装置は、検査装置や加工装置、洗浄装置などに組み込まれて使用されています。

1. 検査装置

検査装置では、医療分野において内蔵の状態を調べるエコー検査装置が広く知られています。また、産業分野では、超音波探傷検査装置が材料の欠陥やクラックを検出するために使用されています。さらに、海中の魚を探す魚群探知機も超音波を使用しています。超音波を使った検査では、被検査物に悪影響を与えず非破壊で検査できることが大きな利点です。

2. 加工装置

加工装置では、食品加工分野でマヨネーズや油の混合に用いられているほか、超音波振動を利用した切削装置なども製造されています。

3. 洗浄装置

超音波を利用した洗浄装置も様々な物があり、眼鏡の洗浄を始め、半導体や電子部品の洗浄などに私用されています。超音波洗浄では、洗浄槽の中に水や純水を入れ、洗剤を使用せずに製品や部品の汚れを落とせることが特徴です。

超音波発生装置の原理

超音波発生装置は、圧電素子 (圧電セラミックス) に高い周波数の電圧をかけて振動させ、物体周辺の空気を振動させて超音波を作り出します。超音波発生装置で用いられる圧電素子には、セラミックスの一種で酸化チタンや酸化バリウム等を高温で焼き固めた材料が用いられています。

圧電素子は、外部から圧力を加えると素子に電圧が発生します。その反対に、素子に電圧を加えると素子が伸び縮みします。

素子に圧力を加えると電圧が発生する理由は、素子に圧力を加えることで、固体中の結晶構造が歪められたことに起因します。固体中には、プラス・マイナスのイオンが配置されており、外部からの力によって、これらのイオンの位置がゆがめられ、固体内で電荷の偏りが生じます。その結果、電気的な分極が発生し、固体内に電圧が発生します。

反対に、電圧の印加によって素子が伸縮するのは、その電場によって、イオンの位置が動くことで結晶構造が変わり、固体が持つ厚みが変化するためと理解されています。

超音波発生機の構造

超音波発生機は、大きく分けて発振器、共振器、変換器の3つの構成要素からできています。

発振器は前述のように、圧電素子を用いて高周波の電圧から超音波を発生する部分です。共振器は、発振器で発進させた振動を金属の棒や板に伝えて、これらを共振させて増幅します。変換器は、増幅させた超音波を、使用する媒体に伝搬させるために変換する部品です。つまり、超音波は空気中で音として使う場合や、洗浄槽で水の振動として使う場合、検査装置でプローブを介して検査対象に振動を与えるために使う場合など、様々な形の振動に変換されます。

さらに、超音波発生装置には、発振器の周波数や出力レベルを調整するための制御回路や、発生した超音波を測定するためのセンサーなどが備わっています。

超音波発生装置は材料試験などで単独で使用される場合もありますが、多くの場合には何らかの応用機器の中に組み込まれて使用されます。具体的には医療用の超音波診断装置や産業用の超音波洗浄装置や粉砕装置、海中で使用するソナーや魚群探知機などが良く知られています。

参考文献
https://www.honda-el.co.jp/hb/1_1.html
https://senjyou.jp/ultrasonic-cleansing/

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