菌床

菌床とは

菌床

菌床とは、菌床栽培に用いられる培地のことです。

木質素材となるおがくずなどに、栄養源となる麦ぬかや米ぬかなどを水で混ぜて作られます。菌床は、袋や容器に小分けされた後、そこにキノコ類の種菌を植え付け栽培します。

菌床栽培は、上記のように人工的に作った培地 (菌床) を用い、管理された環境下で栽培されるので、人工栽培とも呼ばれます。一方、原木栽培は、クヌギやコナラ、ミズナラなどの丸太や切り株に穴を開け、そこに種菌を植え付けます。自然に近い環境で栽培されるので、自然栽培と呼ばれています。

菌床の使用用途

菌床は、しいたけなどのキノコ類を栽培する際に使用されています。これまでの栽培方法をしいたけの原木栽培を例にとると、まず場所の選定として、山間地や森林部などの人里離れた場所が必要でした。そこからほだ木の運搬、潅水や天地返し、年に数回ほだ木を吸水させる作業と、何かと重労働でした。

そして、1〜3年程度の栽培期間を要するうえ、春秋と限られた季節での収穫となります。また、収穫したしいたけを長期保存するために、さまざまな加工方法を必要としました。菌床栽培では、それまでの栽培方法が見直され、人工的に作った培地 (菌床) を用い、温度・湿度など管理された環境下で栽培されます。短い栽培期間で、一年を通して収穫が可能です。

何より屋内での栽培は、山間部まで行かなくても、田畑などの平地でも可能になり、原木を扱う重労働から、培地を扱う軽作業へとシフトしました。また、菌床は気象の変化や害虫・有害菌の影響を受けることなく、安定した品質と収穫量を確保することが可能です。これまでの缶詰や乾燥といった加工方法に加え、生の状態でのしいたけを市場に送り出すことが可能になりました。

菌床の特徴

長所

菌床栽培は、菌床に種菌を植え付けた後は、適切な湿度・温度管理のもとで培養すれば約3~5カ月といった短いサイクルで収穫までたどり着くことができます。また、1年を通じて収穫が可能です。原木のようなほだ木と比較して、場所も取らず、労働面においても作業が軽くて済みます。

また、小規模で始められて安定した収益が見込めるため、新規就農として始めやすいことで注目されています。

短所

菌床は収穫が終わると、産業廃棄物としてお金をかけて処分する必要があります (廃菌床) 。廃菌床は収穫できるキノコの2~3倍の量が発生するため、廃棄処分となればかなりの費用がかかります。

菌床の種類

菌床栽培で栽培できるキノコの種類は多く、使用するおが粉もキノコの種類に合わせて選択します。

1. しいたけ

ブナ・トチ・シイ・カシなどの落葉広葉樹に栄養剤を加えた培地です。中国産では、クワやリンゴの剪定枝も使用されています。袋で栽培されます。

2. えのきだけ

スギやエゾマツなどの針葉樹おが粉を6 ヵ月堆積散水、もしくはコーンコブを基剤とし、栄養剤を加えた培地です。ビンで栽培されます。

3. まいたけ

ブナ・コナラ・ミズナラ・クヌギなどの広葉樹に栄養剤を混ぜた培地です。袋栽培が一般的となっています。

4. ぶなしめじ

ブナ・ナラ等の広葉樹、または堆積散水のスギやマツ等の針葉樹に栄養剤を混ぜたものです。ビンで栽培されます。

5. エリンギ

堆積散水のスギ・マツ等の針葉樹、または広葉樹、コーンコブに栄養剤を混ぜた培地です。ビンで栽培されます。

6. ひらたけ

ブナ・サクラ・トチ・ヤナギ・リンゴ・カキ・みかんなどの広葉樹全般に栄養剤を混ぜたものです。ビンで栽培されます。

 

栄養剤は、主栄養源と補助栄養源から成り、主栄養源は、米ぬか、麦ぬか、とうもろこしぬか、小麦粉から成ります。補助栄養源としては、貝殻、カルシウム塩、木酢液、ビール酵母粕等があり、成長促進剤として添加します。

菌床の使い方

1. 混合撹拌

おが粉に含まれる異物を取り除いて、菌床材料を決められた割合で混ぜます。地域や生産者、よっては季節により配合が異なります。

2. 充填

混合した菌床材料を、瓶や袋、平箱に詰めます。菌床の形状は、菌種や育成後の形により選択されます。同じ菌床材を用いた場合でも、床の形状で発生状況が異なります。

3. 滅菌

充填した菌床を、中心温度98℃、4時間以上かけて滅菌します。

4. 種菌接種

種菌を無菌室で培地表面もしくは接種孔に塗ります。

5. 育成

菌床に菌糸体がつく環境を整えます。菌糸体の成長において、呼吸により発生する二酸化炭素の濃度が高くなると生育不良を起こす可能性があるので、必ず換気を行います。

時間の経過と共に菌床中の水分が減少するので、散水が必要です。菌種にもよりますが、育成に30〜120日程度かかります。

6. 発生

キノコの発生条件に適するように、温湿度と光量を変えてキノコの発生を促します。

7. 収穫

瓶栽培の場合は、一度に全てのキノコを収穫しますが、袋や平箱の場合、出荷できる大きさになった物から収穫をします。

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