高電圧コネクタとは
高電圧コネクタとは、高電圧を使用する機器と、それに電力や信号を送る機器やケーブルとの間で使用する接続部品 (コネクタ) のことです。
X線装置を始め、高電圧を使用する機器は多くあります。高電圧コネクタはそれらの機器を使用するに当たって、高電圧ケーブルの接続と切り離しを簡単に行えるようにし、且つ、ケーブルの抜け落ちや感電の危険性をなくすために使用されます。
高電圧コネクタは、産業用機器を始め、医療機器、検査機器、自動車の電動化関連機器などの広い分野で使用されています。
高電圧コネクタの使用用途
高電圧コネクタは、高電圧ケーブルを介して高電圧の電源電流や信号をやり取りする機器間の、各々の接続部で使用されます。
機器の高電圧引き込み部分と、高電圧ケーブルの端に高電圧コネクタを使うことで、機器を移動する場合などに、簡単にケーブルを切り離したり、使用中にケーブルが抜け落ちることがないように確実に再接続を行えます。この利便性と安全性から高電圧コネクタは産業用機器、医療機器、宇宙航空関連機器、自動車等の広い分野で使用されています。
産業機器では、高電圧電源装置、太陽光発電や風力発電などの発電関連機器、電気自動車用の充電器などで使用されています。
医療関連機器では、レントゲン撮影機器のX線管に高電圧を供給するためのケーブル接続口を始め、MRIやCT等の撮影装置でも使用されています。
航空宇宙関連機器では、航空機を始めロケット、衛星、ミサイルなどの各部で使用されています。
自動車では、電気自動車とハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の駆動用バッテリーとモーターをつなぐ部分に高電圧コネクタが使用されています。
高電圧コネクタの原理
高電圧コネクタは2ピース構造となっていて、片方がプラグ、相手側はレセプタクルと呼ばれ、これらが一対となって、コネクタの接続と分離の機能を果たしています。
また、プラグ、レセプタクルは、ともに電気を通すコンタクトと、コンタクトを保持しコンタクト間の絶縁機能を果たすプラスチックで出来たインシュレータ(絶縁体)、これを保護するためのシェルと呼ばれる外殻部品から構成されています。
コネクタの要であるコンタクトは、ともに導電性の高い銅合金でできており、通常プラグ側にはバネ特性を持たないピンコンタクト、レセプタクル側にはピンコンタクトを受け止めるよう、バネ特性を備えられたソケットコンタクトが配置されています。
高電圧コネクタの種類
高電圧コネクタの種類は、接続する高電圧ケーブルの形状から分類すると、3種類に分けられます。
1. シールドを持った単芯の同軸ケーブルに対応した高電圧コネクタ
シールドを持った単芯の同軸ケーブルに対応したコネクタにはBNCやMHV (Miniature High Voltage) 、SHV (Safe High Voltage) と呼ばれる規格化されたコネクタがあります。これらの規格に対応したコネクタはいずれも金属でできた円筒形をしており、特にBNCとHMVは形状が似ています。
2. シールドを持たない単芯の同軸ケーブルに対応した高電圧コネクタ
シールドを持たない単芯の同軸ケーブルに対応したコネクタには、各メーカーそれぞれの機器に付属した独自のケーブルとして採用されているものが多くあります。それぞれの機器と付属ケーブルに対応した独自のコネクタとなり、形状も様々です。
3. 多芯ケーブルを収納した高電圧ケーブルに対応した高電圧コネクタ
多芯ケーブルを収納した高電圧ケーブルに対応した高電圧コネクタは、主にX線管や、電子ビーム発生装置、イオンビーム発生装置などで使われています。形状には円筒形をした外観の中に複数の接続端子を収納したものや、箱型の形状をした外観の中に、接続端子を並べたもの等があります。
また、電気自動車の充電にも、多芯ケーブルの高電圧コネクタが使用されています。これには、日本が主導して世界に普及をさせたCHAdeMO (チャデモ) という規格に準拠したコネクタが使用されます。CHAdeMOは高速充電と普通充電の両方の仕様を定めており、コネクタの内部には、電源用の接続部の他、充電器と自動車の間で制御信号のやり取りをするための端子も収納されています。
参考文献
https://www.jae.com/about-connectors/2/
https://www.lemo.co.jp/each-uses/hight-voltage.html
http://www.hoantenken.com/news-cable