異形管とは
異形管の呼称が使われるものは、いくつかあります。一つは、鉄管、銅管、樹脂管、及び土管などの管路において、接続部や分岐部に使用する曲がり管、枝付き管、及びT字管などを言います。二つ目は、水道管や下水管などに使われる鋳鉄異形管及びダクタイル鋳鉄異形管です。さらに、管路の断面が円形や長方形以外の形状をしたものも、異形管と呼ばれます。
流路変更や分岐のための異形管には、10~180度の角度のベンド管、クロス管、Y字管、及び枝付き分岐管などがあります。水道管などに使われる鋳鉄異形管も同様の種類があり、JIS規格でベンド角度の基準などが定められています。また、断面が円形以外の異形管には、多彩な断面形状、例えば楕円、半円、甲丸、溝形などがあります。
異形管の使用用途
異形管は、流路の方向変更や分岐、合流などが必要な各産業分野で、各種プラントをはじめ、化学工場や発電プラントの配管網、建設機械、冷凍空調分野の配管、油圧回路など広範囲の用途があります。また、上水道・下水道、ガス配管の流路などには、鋳鉄異形管やダクタイル鋳鉄異形管などが使われます。
繊維機械、食品機械、印刷機械、及び医療機器、OA機器などの機械装置やエクステリア用品、オフィス用品などの製品・部品では、流路ではなく、構造材として各種の断面形状・材料の異形管が使われます。
異形管の原理
異形管に使われる材料は、鋼材、銅をはじめ、ステンレス鋼、合金鋼、及び鋳鉄、ダクタイル鋳鉄、窯業系など用途に応じて選定します。ダクタイル鋳鉄は、黒鉛球状化処理により高強度、高靭性を特徴とする鋳鉄です。引張強さや曲げ強さは鋼材以上あり、適度な伸びと硬さを有して流体圧送管材に適しています。異形管の接続部は、溶接やフランジ接続、ねじ接続などサービス性を考慮して選定します。
水道管やガス管などに使われるポリエチレン管に接続できるメカニカル接手があります。鋳鉄管とポリエチレン管とを接続する異形管接手で、ゴム輪によりシールしてフランジ状の金具で絞めこむ方式です。
異形管の製造方法は、鋼材や合金鋼では、薄板をまげて溶接したり、各種の鋼管を素材に使って冷間ロール成形で仕上げたりするのが一般的です。精密異形管と称して、引抜加工により色々な断面形状の異形管を製造する方法は、内面の切削加工や異形切削加工が不要で精密な引抜面が得られます。鋳鉄異形管は、鋳型を使った鋳造法で作るため、比較的自由な形状のものが作れます。