工業用潤滑油とは
工業用潤滑油とは、産業用機械を正しく運用できるよう、潤滑や冷却、防錆などに利用される油製品です。
工業用潤滑油の主な役割は、金属同士が接する部分に油膜を作り、摩擦を軽減することです。接触部の摩擦や磨耗を防ぎ、機械の寿命を延ばします。
冷却・防錆・洗浄・密封なども、工業用潤滑油の大切な役割です。運転中に発生する熱を吸収して分散する冷却作用、金属表面を油膜で覆ってサビを防ぐ防錆作用、異物や摩耗粉を取り込んで装置内部を清潔に保つ洗浄作用など、大切な機能を果たします。
工業用潤滑油は用途により「一般機械油」「ギヤオイル」「タービン油」「油圧作動油」「切削油」などに分類されます。例えば、ギヤオイルは高面圧の歯面を保護するために極圧添加剤を含み、タービン油は高速回転軸受の冷却と潤滑を両立させるように設計されています。
工業用潤滑油の使用用途
工業用潤滑油は、あらゆる産業機械において必要不可欠な役割を果たします。
1. 機械部品の潤滑
モーター、ポンプ、コンプレッサー、ベアリングなど、回転や摺動を伴う部品の潤滑に用いられます。金属同士の摩擦を低減しエネルギーロスや部品の摩耗を防ぎ、機械効率を高めます。
2. 油圧装置の作動油
フォークリフトや建設機械、射出成形機、プレス機などに用いられる油圧システムでは、潤滑油が「動力を伝える媒体」として機能します。圧力変化に強く、安定した粘度を維持すること、シール材との相性や酸化安定性も重要です。
3. 金属加工・切削作業
旋盤、フライス盤、研削盤などで金属を加工する際に用いられる切削油は、摩擦と熱を抑えることで加工精度を向上させ、工具の寿命を延ばします。切削油には水溶性タイプと不水溶性タイプがあり、加工内容や材質に応じて使い分けられます。
4. 防錆・保護用途
製品や機械を長期保管する際、金属表面に油膜を形成して空気や水分から保護します。特に屋外設備や海沿いの工場など、湿気や塩分の多い環境では防錆性能も重要です。
5. 冷却・清浄・密封機能
潤滑油は、機械内部の熱を運び出す冷却剤としても機能します。また、摩耗粉や汚れを包み込み、フィルターで除去する清浄作用、ピストンやシリンダーの隙間を油膜で埋める密封作用もあります。