不燃シートとは
不燃シートとは、燃えにくい特性を持つシート状の資材を指します。
ここでいう「不燃」とは、建築基準法に基づく区分で、通常の火災にさらされても20分以上燃焼や変形が進行せず、延焼の原因とならない性能を意味します。つまり、不燃シートは「燃え広がらない」ではなく「燃えない」ことが規格上の前提であり、類似する難燃シートや防炎シートとは区別されるポイントです。
素材には、ガラス繊維やシリカ繊維などの耐熱性に優れた無機繊維が多く用いられています。これらは高温にさらされても形状を保持しやすく、煙や有毒ガスをほとんど発生させません。また、樹脂でコーティングを施したタイプもあり、耐候性や防水性を兼ね備えているものも存在します。柔軟で加工性が高いため、建築や工業、防災などの分野で活用されています。
不燃シートの使用用途
不燃シートは、その優れた耐火性と安全性から多様なシーンで利用されています。
1. 建築分野での使用
建築物の安全性を高めるために、不燃シートは壁材や天井材の下地、間仕切り材として使用されます。特に高層ビルや公共施設など、多くの人が利用する建物では、火災時の延焼防止が重要です。不燃シートは防火区画を形成する役割を担い、避難時間を確保するために欠かせない資材となっています。
2. 防災対策での使用
避難通路や仮設スペースの保護用として不燃シートが利用されます。火災時には炎や煙の広がりを抑える効果があり、防火カーテンや防炎シートも設置例の一つです。また、防災用品として備蓄され、緊急時に建物や設備を一時的に守る役割も果たします。
3. 工業分野での使用
溶接や金属加工など高温作業の現場では、火花や高熱から設備や周囲を守るために「溶接シート」として用いられます。さらに、炉や高温配管の断熱・遮熱カバーにも活用され、作業環境の安全と効率の向上に寄与するものです。
4. イベント・公共空間での使用
舞台装置や展示ブースの装飾、屋外テントなど、人が多く集まるイベント空間では防炎性能が確保されていなければなりません。不燃シートは消防法の基準を満たす製品として、火災のリスクを低減し、安全性を確保するために使われています。