樹脂ノズルとは
樹脂ノズルとは、プラスチックなどの高機能な樹脂で作られたノズルです。
金属製ノズルと比較して非常に軽量であり、装置の可動部分に取り付ける際は慣性の影響を小さくすることが可能です。また、耐薬品性にも優れており、酸・アルカリや有機溶剤など、金属を腐食させてしまう液体を扱う用途でも安心して使用できます。樹脂は金属のようにイオンが溶け出す心配がないため、高純度な薬液やデリケートな液体を汚染するリスクが低い点も特徴です。
加工がしやすいため、微細で複雑な形状のノズルを製造することも可能です。代表的な素材には、耐熱性や機械的強度に優れたPEEK樹脂や、摩擦が少なく滑りやすい特性を持つフッ素樹脂などがあり、用途に応じて最適な素材を選定します。
樹脂ノズルの使用用途
樹脂ノズルは以下のような用途で使用されます。
1. 電子部品製造
スマートフォンやパソコンなどに搭載される電子基板の製造工程では、樹脂ノズルが不可欠な存在です。例えば、半導体チップを基板に固定するための接着剤や、電子部品を湿気や衝撃から保護するための封止材などを、微少単位の精度で塗布する際に使用されます。微量かつ精密な塗布が可能なため、製品の小型化・高密度化に貢献します。
2. 医療・バイオ
医療やバイオテクノロジーの分野でも、樹脂ノズルの活躍の場は広がっています。具体的には、病気の診断に用いる検査キットへの試薬の分注や、DNA解析装置でのサンプルのハンドリングなどでの利用です。これらの用途ではコンタミネーションを厳しく管理する必要があり、サンプルの汚染リスクが低い樹脂ノズルは分析結果の信頼性を高める上で非常に重要です。また、安価に製造できるため、使い捨てとして利用しやすく、衛生面でも優れています。
3. 食品・化粧品
食品や化粧品の製造ラインでも、樹脂ノズルが使用されます。食品分野では、ケーキのデコレーションや、容器へのソースの充填などに使用されます。化粧品分野では、クリームや乳液などをボトルへ正確に充填する工程で有用です。これらの分野では人体への安全性が最も重視されるため、安全規格に適合した樹脂材料を選定します。