塗油装置

塗油装置とは

塗油装置とは、金属などの材料表面に、薄く均一に自動で油を塗布する機械です。

正確かつ効率よく、無駄なく油を塗るという高度な技術が詰め込まれた重要な生産設備です。手作業で油を塗る場合に比べて塗布量を精密に制御できるため、油の使用量を最小限に抑えながら、最適な厚さの油膜を必要な箇所に形成可能です。材料の無駄をなくし、コスト削減にも繋がります。主に製造業の現場で活用されており、製品の品質向上や生産効率の改善に貢献します。

塗油装置には様々な方式があり、油を霧状に吹き付けるスプレー方式や、油を含んだローラーを転写するロール方式などが代表例です。対象となる材料の形状や大きさ、求められる油膜の厚さ、生産ラインの速さなど、目的に応じた最適な方式を選定します。

塗油装置の使用用途

塗油装置は以下のような用途で使用されます。

1. 自動車・家電

自動車のボディパネルや冷蔵庫のドアなど、多くの金属製品はプレス加工によって製造されます。塗油装置は、加工前の金属板に潤滑油を薄く均一に塗布する役割を担います。油膜が金属板と金型の間のクッションとなり、摩擦を低減させることで高価な金型の摩耗を防ぎます。また製品の表面に傷が付くのも防ぎ、美しい仕上がりを実現します。

2. 鉄鋼

鉄鋼メーカーで製造される鋼板は、自動車や建築など幅広い産業の基礎となる重要な材料です。しかし、鉄は空気や水分に触れると錆びやすい性質を有します。そのため、工場から出荷されて顧客の元に届くまでの輸送中や保管中に錆が発生しないよう、塗油装置で表面に防錆油を塗布します。この処理により、材料の品質を長期間維持できます。

3. 食品・機械

食品業界では、パンや菓子の大量生産において、焼き型に生地が付着するのを防ぐために離型油が使われます。塗油装置は、この離型油を焼き型へ均一にスプレー塗布するために活用されることが多いようです。衛生的かつ効率的に作業を進める上で重要な役割を果たします。また設備を動かすチェーンや歯車といった機械部品への潤滑油の塗布を塗油装置で自動化している場合もあります。