高粘度ディスペンサーとは
高粘度ディスペンサーとは、粘り気が強い液体材料を精密かつ安定して吐出する装置です。
粘度が高い材料は自重で流れにくく、ポンプで単純に押し出すことが困難です。また、吐出口からの液だれや、細い糸を引く現象が起きやすくなります。高粘度ディスペンサーはこのような課題を解決するために、高圧ポンプやスクリューで材料を練りながら送り出す仕組みです。これにより、高粘度材料でもスムーズに送り出せます。
吐出口には耐摩耗ノズルを採用し、粘着性が強い材料でも周囲を汚しにくい構造を採用します。この構造により、狙った地点へ小さなドットを置く点付けなど、高精度な作業ができます。また、粘度は温度によって変化するため、材料を温めて粘度を下げ、吐出しやすくするための温度管理機能を持つ機種も多く存在します。
高粘度ディスペンサーの使用用途
高粘度ディスペンサーは以下のような用途で使用されます。
1. 電子部品
半導体チップや基板上の電子部品は、外部からの湿気や衝撃を防ぐためにエポキシ樹脂で封止します。樹脂は温度によって粘度が大きく変わりますが、高粘度ディスペンサーなら温度変化後も安定した流量で塗布でき、封止高さを均一にそろえられます。点付けと線引きの両方に対応するため、機種を選べば多品種少量生産にも有利です。
2. 自動車
車体製造では振動を吸収するシーリング材や高強度接着剤をパネルの継ぎ目に連続的に塗布します。材料はガラスビーズ入りで非常に重く、一般のポンプでは送り切れません。このような場合、特に大推力のモーターと加温機能を備える機器を使用します。塗布ロボットと組み合わせると、複雑な三次元曲面にも追従できます。
3. 医療
医療分野では、軟膏やシリコンゲルなど、人体に触れる製剤を容器に充填する際に使用されます。また、歯科治療で歯型を取る際に使用する印象材や、体内で使用される医療用接着剤などを、必要な箇所へ正確な量だけ塗布する際にも活用されます。これらの用途では、材料の特性を損なうことなく、安定して定量供給できる能力が極めて重要です。