インクジェット評価装置

インクジェット評価装置とは

インクジェット評価装置とは、インクの塗布印刷を評価する機器です。

インクジェット方式では、直径が髪の毛の約2~5分の1ほどの微細なノズルからインク滴を射出します。射出途中でインクが糸を引いたり、空気を巻き込んだりすると、印刷や塗布の品質が大きく下がります。評価装置はノズル先端を高倍率カメラで撮影、または、センサーでデータを読み取ることで、一滴ごとの形状・速度・角度などを数値データとして記録することが可能です。

さらに、温度や粘度などの条件を変えながら連続観測することで、インクとヘッドの相性を客観的に評価できます。計測結果はグラフや動画で保存できるため、誰が見ても同じ基準で性能を比較できる点が特徴です。こうした総合的な診断能力を備え、研究開発から量産までの現場で重宝されます。

インクジェット評価装置の使用用途

インクジェット評価装置は以下のような用途で使用されます。

1. インク開発

紙やフィルムに鮮やかな画像を再現するには、色の再現性だけでなく吐出安定性が欠かせません。評価装置を使うと、原料配合をわずかに変えただけで滴形がどう変化するかを瞬時に比較できます。温度変化への耐性や長期保存時の沈降挙動も同時に確認できるため、量産移行後のトラブルを未然に防ぐインク設計が可能です。

2. メンテナンス・保守

生産ラインではノズル詰まりやヘッド摩耗が突然発生します。評価装置で定期的に吐出画像を取得し、基準値と照合しておけば、わずかなずれでも早期に検知可能です。部品交換のタイミングを事前に決められるため、計画外停止を回避して稼働率を高められます。異常傾向をデータベース化すれば、故障の前兆を学習した自動警報システムも構築できます。

3. その他技術

インクジェットは電子回路やバイオ材料の微細塗布にも利用されます。半導体用銀インクや細胞懸濁液は粘度や表面張力が大きく異なり、狙った位置に着弾させる調整が難しい材料です。評価装置で滴挙動を詳細に観察すれば、素材特有の課題を洗い出し、プロセス条件を最適化できます。