バイオマスフィルム

バイオマスフィルムとは

バイオマスフィルムとは、植物など再生可能資源を原料とするプラスチックフィルムです。

バイオマスは生物由来の炭素を意味し、化石資源に頼らない点が特徴です。このフィルムはトウモロコシ由来のポリ乳酸やサトウキビ由来のバイオポリエチレンなどが原料です。本材料は生育中に大気中の二酸化炭素を吸収しており、温室効果ガスの増加を抑えやすいとされます。また、一部の種類は生分解性を持ち、役目を終えたあと土壌や堆肥で分解可能です。

原料は毎年育つ農作物由来であり、枯渇の心配が少ない点も利点です。化石資源系フィルムと同等の透明性や防湿性を持つ品種も開発され、食品や日用品の包装に応用が進んでいます。加工方法は従来とほぼ同じ押出成形や延伸技術が使えるため、既存設備を活かせる点も導入を後押ししています。

バイオマスフィルムの使用用途

バイオマスフィルムは以下のような用途で使用されます。

1. 食品包装

生鮮食品や菓子類の袋に使われるバイオマスフィルムは、透明性と防湿性を生かして内容物を見せながら鮮度を保ちます。酸素を通しにくい多層構造にすることで、油脂の酸化や香りの抜けを抑え、保存期間の延長が可能です。耐熱温度が比較的低い素材は冷凍食品や常温品に適しており、電子レンジ利用には耐熱改質品が用いられます。

2. 医療・衛生資材

生分解性を持つバイオマスフィルムは、絆創膏の剥離フィルムや医療用トレーの内層として採用されます。使用後に焼却しても化石炭素の排出が少ない点が利点です。また、紙おむつの透湿バックシートや生理用品の個包装にも応用され、皮膚へのやさしさと処分時の負荷低減を両立します。

3. 農業・園芸資材

畑で植え付け前に敷くマルチフィルムは、雑草抑制と地温保持のために広く使用されます。生分解性バイオマスフィルムを用いると、収穫後に回収せず土壌中で分解させることが可能です。労力削減と廃プラスチック問題の緩和につながります。また、育苗ポットをフィルムで作成し、そのまま定植して根を傷めずに植え替える方式も登場しています。