プラスチックレンズ

プラスチックレンズとは

プラスチックレンズとは、透明な合成樹脂を加工して作る軽量なレンズです。

主な材料はポリカーボネートやアクリルなどのプラスチックで、熱で柔らかくなる性質を利用して自由な形に成形できます。ガラスと比べて重さは半分以下になり、割れにくい点が特徴です。落としても破片が飛び散りにくいため、安全性も備えています。また、射出成形で大量生産できるため、コストを抑えやすい点も特徴です。

透過率や屈折率などの指標は材料の配合で調整でき、曇り止めや傷防止などの表面コートも施せます。ただし、プラスチックは熱に弱く高温で変形しやすいほか、長時間の紫外線で劣化して黄ばむ欠点があります。そのため、耐熱剤や紫外線吸収剤を加えるなどの対策を施します。近年はナノレベルで表面を整える研磨技術が普及し、高精度品も増えています。

プラスチックレンズの使用用途

プラスチックレンズは以下のような用途で使用されます。

1. 眼鏡・ゴーグル

視力矯正用の眼鏡レンズやスポーツ用ゴーグルでは、軽さと割れにくさが装着時の負担を減らします。プラスチックレンズはカラー染色もしやすいため、日差しよけやファッション性を同時に満たせる特徴があります。子ども用の安全眼鏡や工場で使う防護ゴーグルにも採用されることが多いです。

2. カメラ・スマートフォン

小型カメラやスマートフォンのレンズユニットでは、複数のプラスチックレンズを組み合わせて薄い光学系を構成します。樹脂なら複雑なカーブを一度の成形で作れるため、部品点数を減らしつつ像のゆがみを補正できます。軽量化によって手ぶれ補正などの機構を搭載しやすく、携帯性も向上します。

3. 照明・センサー

懐中電灯や自動車のヘッドランプなどに使用されます。光を遠くへ集める反射鏡とレンズを一体で成形できるため、設計の自由度が高まります。赤外線センサーやレーザースキャナーでは、透明度と加工性を生かして微細な構造を作り、エネルギー効率と計測精度を両立します。